暁 〜小説投稿サイト〜
魔法少女リリカルなのは〜無限の可能性〜
第6章:束の間の期間
第175話「忠義の騎士の復活」
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いるのなら……。
 ……多分、魅了よりも対処が難しいと思う。

「っ……お姉、ちゃん……?」

「フェイト!」

 その時、フェイトが目を覚ました。
 私となのはが手を握っていたからか、皆より意識の回復が早かった。

「(心を落ち着けられるような術式を……)」

 目が覚めたばかりで精神状態は絶対に悪い。
 だから、少しでもマシになるように私は霊術を用意する。
 ……といっても、精神に関する霊術はまだ未熟だから不安だけど……。

「フェイトちゃん、大丈夫……?」

「なのは……」

 フェイトは緩慢な動きで起き上がる。
 気絶する寸前の記憶は曖昧になっているようで、思い出そうと頭を押さえていた。

「私、は……」

「危ない所を私が気絶させたんだよ」

「気絶……っ、そうだ……!」

 私の言葉に、フェイトは思い出したらしい。
 一気に顔色が悪くなって、握る手から震えが伝わってくる。

「大丈夫」

「っ……!」

「落ち着いて、私たちが傍にいるから……」

「ぁ……」

 落ち着かせるように、私が抱き寄せる。

「お姉ちゃんとなのはに任せて、落ち着くまでじっとしてて……」

「……うん……」

 何度も背中を撫で、落ち着かせるように言う。
 こういう時は変に言葉で落ち着かせるよりも、じっとする方が効果的だ。
 しばらくすれば、若干落ち着いたのか、震えが弱まった。

「……他の皆は……?」

「まだ、目覚めてないよ。司たちがついてるから、そっちは大丈夫。……フェイトは、私たちが傍にいた分、早く目覚めたのかもね」

 もしくは、ただの偶然か。
 まぁ、そこまで気にすることじゃないと思う。

「……夢……」

「フェイトちゃん?」

「……悪夢を、見てたの。今までの私が偽物で、紡いできた絆も仮初……ずっと本当のつもりだったのに……こんなの……!」

「っ……!」

 ……何も言えなかった。
 慰めの言葉なんて、きっと無意味。今のフェイトには効果がないかもしれない。

「だから、それが嫌で……目覚めたら……」

「……そっか……」

 悪夢が嫌だったから、目覚めた。
 理由としては単純だけど、心はそんな簡単じゃない。
 今までの自分が本心じゃなかったというのは、嫌悪感や恐怖が並の強さではないから。

「……大丈夫、お姉ちゃんが傍にいるからね……」

「っ……うん……」

 そんな状態のフェイトに、私ができることは限られている。
 こういうのは、最終的に本人が解決しなくちゃいけないからね。
 私にできるのは落ち着くまで姉として傍にいてあげることだ。

「なのは、ここは私に任せて、他の皆を見てて」


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