第三章
第32話 絆の再始動
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朝を迎えた。
早い時間から巫女が来て、朝食を準備してくれていた。
昨日の夕食はカイルが作り、巫女はその手伝いをしていたが、今朝は役割が逆のようだ。巫女が作ってカイルはその手伝いをしていた。
俺だけでなく、女将軍、兵士たちの分の朝食まで作ってくれていた。昨日からいろいろと世話をしてくれているし、驚きの女子力である。
こんな人ばかりだったら、エネルギー問題も女子力発電でカバーできたのかもしれない。
昨日は傷への負担を考慮して寝たまま食べさせてもらっていた。
今日は試しに、テーブルを病室に持ってきてもらい、ベッドを椅子代わりにして食べることになっていた。
起き上がるときは怖かったが、少しわき腹に痛みが走っただけで、我慢できないほどではなかった。
運ばれてきたお盆には……。
ふっくらと炊き上がっていそうなご飯、今が旬という白魚と玉葱のかき揚げ、切り干し大根の煮物、玉子と三つ葉の吸い物、そして海苔が乗っていた。
うん。おいしい。
「おいしいなあ。料理得意なの?」
「食べるのも作るのも大好きです! まだまだ下手ですが、年々上達しているとは思います」
「上手だと思うよ。なあ? カイル」
「うんうん。すっごいおいしい!」
カイルは俺の隣で並んで食べている。彼も料理は上手だが、この巫女も負けないくらい上手だと思う。
和風の料理は久しぶりに食べた。旅館の食事のようで贅沢な気分になる。
「棒術も十年やっているって言ってたよね。すごいな」
「はい! 小さい頃から棒を握ることが大好きです」
「あー、その言い方はちょっと」
「え?」
「いや、わからなければいいです……」
巫女は「?」という顔をすると、今度は視線を入り口横に向けた。
その先にいるのはクロだ。
「クロさんも食べてくれてますね。なかなか手をつけてくれないので、嫌いなものを出してしまったかと不安でしたが」
「ははは。あいつはたぶん嫌いなものとかないよ」
巫女は「よかった」と言い、そのままクロの食べっぷりを眺める。
あっという間に、クロの前の皿は空になった。
すぐに食べ始めなかったのは、例によって俺が食べ始めるのを待っていただけだろう。
「でも……あらためて見ると、ホントに似てますね!」
「ああ、あの霊獣像にそっくりだよな。けど残念ながら本物じゃなくて、うちのペットだよ」
クロは、自分が話題になっているとわかったのだろう。巫女の隣まで来て座った。挨拶代りのようなものだろう。
巫女が頭を撫でる。
「そういえば、調べたことなかったんだけど。あの霊獣像ってどんな意味を持っているんだい?」
俺の時代で霊獣というと、中国の青竜、朱雀、白虎、玄武の四神を連想する。
確か
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