第七十三話 出発その六
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「角もあってね」
「炎も吐いてな」
「とんでもなく強いからね」
「ライオンの首が牙、山羊の首が角、ドラゴンの首が炎でな」
「それぞれ攻撃してきて」
「ライオンの前足が爪でな」
「ドラゴンの翼で空飛んで」
四つの獣の合成獣だ、その戦闘力を全て備えているのだ。
「蛇の尾で噛んできてね」
「あと山羊の後ろ足で蹴ってもきてな」
「物凄く強いよね」
「ドラゴン並の強さって言われるもの伊達じゃないな」
「実際にかなり強いよ」
「ああ、俺達も一人一人だったら」
如何に神の武器を持ち幾多の死闘を潜り抜けてきた彼等でもとだ、久志はしみじみとした口調で述べた。
「苦戦しているな」
「負けないにしてもね」
「一度に八匹も出てきたしな」
そのキマイラ達との戦闘ではだ。
「それだと余計にな」
「一人じゃ勝つことは確実でも」
「大怪我してたな」
「それも確実だったね」
「そうだよな」
「キマイラは本当に強力なモンスターだよ」
この山脈ではグリフォンもそうだとされている、そしてドラゴンの一種だがワイバーンも極めて強力なモンスターだ。
「冗談抜きでね」
「一匹一匹でもな」
「それで群れを為すから」
「余計にな」
「強いから」
だからだというのだ。
「一人だとね」
「俺達でもな」
「苦戦は免れないよ」
「そうなんだよな、実際に」
「普通のキマイラでもそうで」
「石化する息吐いたり毒の息吐くキマイラもいるな」
「怖いのはね」
そのキマイラ達の中でもというのだ。
「石化する息吐くキマイラだよ」
「あの連中だな」
「石になったら」
それこそと言う源三だった。
「もうね」
「洒落になっていないからな」
「そうそう、麻痺よりも厳しいよ」
「だからあのキマイラだとな」
「おいら達が今日戦ったキマイラよりも強いよ」
「普通のキマイラよりもな」
久志も頷いて答えた。
「ここはそっちのキマイラいないだけましか」
「そうだよね」
「そのことが不幸中の幸いか」
「まだそうかもね」
源三は自分もキマイラの肉を食べつつ久志に話した、その夜一行は普通に寝て朝になると朝食を食べてそうしてだった。
出発した、山脈は馬で休み休みで二日かかったが越えられた。
そして麓の村で一旦休んだがここでだ、剛がその村の牧場を見て言った。
「ここかなりね」
「いい牧場だな」
「うん、牛も羊に太っていてね」
「餌はいいんだな」
「そうみたいだね」
「この牧場なら」
剛はその牛や羊達を見てこうも言った、豚も多いが豚達もよく太っている。
「いい肉や乳製品が手に入るね」
「そうだな、草がいいんだな」
久志は家畜達が太っていることの理由をそこに求めた。
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