50話:予想外の未来
[3/4]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
は関係者の滞在施設と、超硬度鋼とスーパーセラミックの量産施設が移築新設される。もう基地の建設というより、巨大都市の建設に近い計画だ。
「ファーレンハイト准将は、イゼルローン要塞はほぼ完成してから視察されたのでしたね。私は建設途中の段階も観ておりましたので、イゼルローン要塞の印象が強いです。ただ、完成すれば見渡せる範囲全てが基地になりますから、壮観でありましょうな」
落ち着いて感想を述るのはベッカー准将だ。幼年学校以来の腐れ縁となりつつあるが、彼はザイトリッツの従士として、俺よりも長い間、傍で支えてきた人間だ。イゼルローン要塞の建設過程は映像で見る事が出来るが、確かにあれを生で見る事が出来ていたら、心に残るモノになるだろう。
俺も任官2年目から、ザイトリッツの副官と参謀を兼ねたような職務を果たしてきた。下級貴族出身の俺が33歳で准将などできすぎだろう。嫡男のアーダベルトも幼年学校の3年目、数回ザイトリッツの日に参加しているし、ザイトリッツの甥にあたるルントシュテット家のご嫡男、ディートハルト殿とも研鑽しあう仲らしい。
親父が投資詐欺に引っ掛かった時には俺の人生は借金の返済で終わると絶望しかけたが、こんな未来が待っているとは思わなかった。アーダルベルトの後にも長女と次男・三男が生まれたし、ファーレンハイト家は一先ず安心といった所だろう。
「それにしても、通信設備を通常の物より強化する計画だし、中央管制塔の下はだいぶ余裕のある設計になっているが、我らが上級大将はまた面白い事でもお考えなのかな?」
「まだ決定ではないのですが、6個艦隊の駐留基地となると交代も含めれば12個艦隊のメンテナンス・補給が行えることになります。イゼルローン回廊の向こう側での戦況を把握しながら戦力配分を指示する機能も持たせようという話が出ているようです。話が流れれば大会議室が数個作られることになると思いますが......。まだ稟議の段階ですし、そうなると回廊出口付近に通信衛星を配備する必要も出てきます。稟議が降りたら正式な話として降りてくると思いますが......」
「確かにイゼルローン要塞の一歩後ろからの方が全体を把握しやすいか。目の付け所が違うなあ」
後方支援部門を軸にキャリアを重ねて来たが、どちらかというと俺は前線指揮官や、艦隊幕僚との折衝を担当し、ベッカー准将は、軍務省や統帥本部との折衝を任されてきた。こういう情報は彼の方が詳しいのが、俺たちの役割分担だ。代わりに俺は前線や宇宙艦隊司令本部の情報に詳しい。
「前進論を抑える意味でも、イゼルローン回廊のあちら側への駐留基地新設案はかなり必要予算を盛りましたから、それに比べたらこの駐屯基地改築予算など安く見えたと思いますよ。実際問題、あちら側に駐留基地を作っても維持と補給の予算も考えれば負担が増
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ