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レーヴァティン
第七十三話 出発その五

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「その二つがないとな」
「この肉だってな」
「こんなことは言えないな」
「結構いけるとかか」
「ああ、それでも食わないといけないけれどな」
「いけない、だからな」
「味はかなり落ちるんだよ」
 塩や胡椒で味付けしなければだ。
「肉ってのはな」
「野菜とかに比べてもな」
「どうしてもな、どっちもどっちだな」
「どっちも欠けるとな」
「肉は食えないな、ステーキだってな」
 肉料理といえばそれはというのだ。
「塩と胡椒がないとな」
「食えないよな」
「こんな風にはな」
 美味しくだ。
「やっぱりな」
「そうだよな、胡椒なんてな」
 久志は今の話に出ているこの香辛料についてはこう述べた。
「欧州じゃ手に入れる為にな」
「大海原にも出たな」
「はるばるインドまでな」
「そうして手に入れている」
 その大航海時代のことだ、喜望峰を回ってそうして途中遭難や難破で多くの犠牲者を払いつつも胡椒を手に入れたのだ。
「死ぬ思い、いや実際に死んだ人も多かった」
「そうしてでもだったよな」
「胡椒は手に入れていた」
「それだけ胡椒をかけた肉が美味いってことか」
「その通りだな」
「こっちの島じゃ普通にあるけれどな」
 その胡椒がだ、彼等の世界の欧州とはとは違い胡椒は普通に島のある地域で大規模に栽培されていて売られているのだ。
 それでだ、今彼等も使っているのだ。
「俺達が起きている世界じゃ違うな」
「大航海時代まではな」
「そうだよな」
「しかしこの島は違う」
「胡椒も普通にあってな」
「俺達も使っている」
「それだけで違うな」
「胡椒、香辛料の多くが様々な薬効もある」
 ただ料理の味を飛躍的によくするだけでなくだ。
「身体にもいい」
「胡椒だってそうだったな」
「だから余計にいい」
「使えることはな」
「そうだ、だからだ」
 それでとだ、正もその肉を食いながら言った。
「このことは感謝すべきだ」
「全くだよな」
「モンスターもいて危険は多いが」
「いいこともあるな」
「俺達が起きた世界よりな」
「そうだな、けれどモンスターもいるからな」
 このことでまた言う久志だった。
「危ないことも多くてな」
「俺達の世界と比べてな」
「どっちがいいか悪いかは」
「トータルでは言えないな」
「そうだな、どうもな」
「このキマイラだってな」
 今は倒してそうしてその肉を食べているモンスターもというのだ。
「強いからな」
「牙と爪があって空飛んで」
 源三がそのキマイラの闘い方について述べた。
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