第七十三話 出発その四
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「俺達も乗せてな」
「負担はかなりでござる」
「平地でもそうでな」
「山は余計にでござる」
「そうだよな、だから俺もな」
「いつもより休んでいるでござるな」
「そうだよ」
まさにと言いつつだ、キマイラの肉を食べる久志だった。獅子と山羊とドラゴンの三つの頭を持ちドラゴンの翼で空を飛び尾が蛇、上半身は獅子で下半身は山羊のこのモンスターの強さは相当なもので味もその四種類の獣の味がする。ただしドラゴンと蛇の味は似ていて鶏に近い。だから三種類の味とも言っていい。
「馬を休ませているんだよ」
「それがいいでござるよ」
進太は久志のその考えをよしとして述べた。
「馬も生きているでござる」
「俺達と一緒でな」
「だから無理はさせられないでござる」
「本当にそうだよな」
「だからでござる」
「今はな」
「休み休み進むべきでござる」
「馬の為にもな」
「しかもここは餌も少ないでござる」
馬が食べる草もとだ、進太はこのことも話した。
「そこも厄介でござる」
「こうした山はそこも大変だな」
「馬にかかる負担も大きいでござる」
「だからな」
「拙者も思うでござる」
「山にも木が必要だよな」
「木があればでござる」
それで、というのだ。
「その下に草も生えるでござる」
「だからな」
「植林はすべきでござる」
「本当にそうだよな」
「では政をはじめたなら」
「植林するか、それとな」
久志はさらに言った。
「道整えないとな」
「この山の道も」
「ああ、さもないとな」
道もなければというのだ。
「こうした時実際にな」
「大変でござるからな」
「だからな」
それでというのだ。
「そっちも整えないとな」
「その通りでござるな」
「ここは道がないことも大変だぜ」
獣道を進んでいる、しかし獣道はしっかりとした道ではない。それで言うのだ。
「そっちも整えていくぜ」
「それでは」
「それも政ってことだな、それとな」
キマイラの肉を食いつつだ、久志はその肉を見てこうも言った。
「ライオンの部分は普通だけれどな」
「キマイラの肉でござるか」
「山羊のところとドラゴンのところ美味いな」
そうしたところはというのだ。
「尾も筋張ってるけれどな」
「蛇もでござるな」
「結構いけるな」
「そうでござるな、しかし」
「それもか」
「塩と胡椒があるからでござる」
だからだとだ、進太は久志に話した。
「さもないとでござる」
「肉はな」
「こうはいかないでござる」
「どっちもないとな」
塩も胡椒もとだ、久志もしみじみとした口調で述べた。
「肉は駄目だよな」
「若しもな」
正もキマイラの肉、火で炙って焼いたそれを食いつつ言った。
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