第三章
第31話 用意周到
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必要はない」
「ははは、相変わらずだな……あ、声の主ってさ。やっぱり神さまなのかな?」
「わからない」
「そっか。不思議なもんだな」
「そうだな」
ふむ……。
その声の主は、前に神社に行ったときと合わせ、二回連続でクロとの会話を俺によって邪魔されたことになる。
神さまだか何だかわからないが、俺に対する心証は絶対に悪いだろう。
まずい。
また後日、怪我が治ったら、クロと一緒に神社へ行って仕切り直そう。
「兄ちゃんただいま! ケガは大丈夫?」
カイルが戻ってきた。
病室の扉を勢いよく開けて入ってくると、俺が寝ているベッドのすぐ横に来る。
「お帰り。俺は大丈夫だよ」
「そっか! よかった。あ、オレちゃんと陛下に伝えてきたからね!」
「ありがとな。助かるよ」
「へへへ」
「どうだった? ヤハラは一度城に戻ったのかな?」
俺は、一番気になっていたことを聞いた。
証拠隠滅のため部屋を爆破。それに巻き込まれて死傷者が出た……などということになっていなければいいのだが。
「それは私から説明しよう」
この声は。
入り口のほうを見ると、いつのまにか女将軍ファーナが入ってきていた。
「あれ? 将軍、来てたんですか」
「ああ、陛下の命令でな。兵士も連れてきているぞ。この診療所を警備するためにな」
「そうなんですか。ありがとうございます」
「お前、城に帰ったら怒られると思うから、心の準備だけよろしくな」
「え。俺、怒られるんですか」
「ああ、陛下はご立腹だったぞ?」
「な、なんで」
「陛下のお言葉を原文ママでそのまま伝えるぞ? 『なぜ何も言わずに外出したのか。護衛ならいくらでも用意できた。お前こそ危機管理がまるでなっていない。運が悪ければ死んでいた可能性があるのではないか。余のことをアレコレ言う前に、まずお前はどうなんだ? 退院したら覚悟して城に戻ってこい』だそうだ」
あー……。
確かに、危機意識が甘かったということはあると思う。
結果的に俺は敵組織の邪魔になっていたわけなので、刺客がこちらに向けられるというのは十分に考えられることだった。
今回はフラフラと外出した挙句、神社の中で単独行動を取ったことが敗着となった。
「なるほど。納得です。城に戻るのやめようかな」
「そうか。指名手配書の準備を整えておく」
「いや、冗談ですって」
女将軍の話では、カイルよりも少し前のタイミングで、ヤハラは城に帰ってきていたとのこと。神社での一件の後、まっすぐ城に戻ったのだろう。
その後カイルが到着。実はヤハラがスパイだったと聞いた城の人たちは、全員で慌ててヤハラを探したそうだが、すでに姿を消しており、現在も行方不明となっているらしい
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