第三章
第31話 用意周到
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まって申し訳ない……」
一人で脱がせるのは無理だろうから、二人がかりなのはまあ当然だ。
起きるタイミングが悪かった。
恥ずかしすぎて死にそうだ。
しかしながら今、一つ重要なことが判明した。
この時代においても、やはり女性にとって異性の体は恥ずかしいものだということだ。
女将軍、エイミー、カナ。お前ら三人は猛省しろ。
***
ひとまず、この診療所に一泊してくださいという話になった。
特に体に異変がないようであれば、明日退院らしい。
まあ、抜糸のときに、またここに来ることにはなるだろうが。
「リク」
クロがベッドの横まで来た。
「お、クロ。さっきいなかったよな?」
「この建物の周りを確認していた」
「そうか、おしっこが我慢できなかったか」
「……」
「あー、ごめん冗談だから。あいつらの仲間が来てたらまずいもんな。助かるよ」
ぬかりはないようだ。さすが。
これで冗談が通じるようになれば、さらに完璧だ。
「あ、そうだ。なんで院長の実家までカイルを呼びに行けたのかを教えてくれ」
「少し長くなるがいいか」
「ああ、構わないよ」
クロは、霊獣像に祈った場面から説明を始めた。
今回の祈りでも、頭の中に声が聞こえたそうだ。
まず第一声は、「やっとつながった」というものだったらしい。
続いて、「ひとまずここまでご苦労だった」とねぎらわれ、そして「お前に頼みがある」というように言われたという。
その頼みをこれから聞こうというときに、声の主から「あの人間が、神社内で危機に陥っているようだ」と言われたようだ。
クロは「すぐに助けに行く」と答えたらしい。
それを受けて声の主は、そこは戸が閉まっていてクロは開けることができないこと、そして仮に入れても、敵が複数人いるのでクロだけで戦うのは難しいことを告げたようだ。
そこでクロは声の主に、俺の居場所と、カイルの居場所について聞いた。
少し待たされたらしいが、方角とだいたいの距離、そして建物の特徴を教えてもらえたらしい。
クロはすぐに走って、カイルの居場所と思われるあたりに行き、吠えまくっていたら、彼が出てきて合流できたようだ。
しかし、カイルを連れてきたはいいが、教わった方角と距離はかなりアバウトなものであったため、神社内での俺の居場所を特定するのは難しかったそうだ。
カイルを呼んだときのように吠えるのはかえって危険と判断。仕方なく、二人で辺りの怪しい建物を一つずつ調べていった。
そして俺のいた建物の前を通ったときに、たまたま巫女の悲鳴――ということだったらしい。
「なるほど。またクロには世話になってしまったな。ありがとう」
「私には礼を言う
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