49話:フェザーンの日々
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に言い聞かせて納得した気になっているというのが実情だ。
「ウェンリーの件もご配慮いただきありがとうございます。さすがに交易船内での生活では同年代の友人を作ることもできませんし、気にはなっていた部分なので感謝しております」
「良いのです。ボリスはまだ8歳なのですが、変にへそ曲がりな所がありまして。近所では悪たれなどと言われておりますから、きちんと責任を伴った役目をやらせたいと思っていたのです。いくら何でも友人のご子息をフェザーンに滞在されているにも拘らず交易船の船内で過ごさせるわけにもいきませんし」
今回のフェザーン滞在では色々な商談が予定されていたので、とてもではないがウェンリーの面倒を見てやることはできなかったが、コーネフさんの好意で、短期のホームステイをするような話になり、ご子息のボリス君が、ウェンリーに付いてフェザーンを色々案内してくれることになっていた。
「あの方からのお知らせで、この数年の帝国での資材消費量の増加分はいったん落ち着くので、資材価格も元の水準に戻るだろうとのことですよ。交易業界としては仕事がやりやすくなりますが、資材価格の下落を織り込まずに設備投資していた所には厄介なタイミングでしょうね」
「そうですか。うちにも話は来ましたが、政府の補助金がついていたりと何かしらしがらみが出来そうなので手を出さなかったのです。このタイミングではかなりの案件が不良債権になるでしょうね。明日は我が身と思って、教訓にでもしましょうか」
一旦、話を区切りお互いにグラスを傾ける。普段はあまり嗜まないが、ドラクールではウイスキーをロックでちびちびと楽しむのが私の流儀だ。コーネフさんも同じものを飲んでいる。生ハムを口に入れて一息ついた頃合いでコーネフさんが話を続ける。
「帝国でも資材価格の高止まりは方々に影響があったようです。あの方が尻ぬぐいを命じられたそうですから、帝国の方は思った以上に早く落ち着きそうですね」
「同盟の方はそうはいかないでしょうね。価格上昇が始まった直後に設備投資した案件でも4年位しか恩恵を受けられませんでした。多くの案件は2年恩恵があったかどうかでしょう。増産分を吸収できる受け皿があればまだ良いですが、戦闘艦を建造しても乗組員がいないですし、ほとんどの案件は造船施設から離れた星域で、同盟内では採算を取るのが難しいと判断されていたはずです」
これで同盟政府の財政はまた悪化するし、フェザーンへの借款もディナール建てでは受け入れてもらえなくなっていると聞く。この状況で紙幣の発行は悪手だし、増税はさすがに地方星域から限界だと悲鳴が上がるだろう。軍への徴兵を進めれば、そもそもの社会基盤が壊れかねない。つまり特効薬はないという事だ。ゆっくり体制を立て直す時間的な猶予をそもそもあの方が許すのだろうか。そ
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