48話:帝都での日々
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たばかりだし、子供たちも小さい。名誉なことだが、丁重にお断りした。
そうなると上級大将という階級に見合う役職を急に用意することはできないし、特に失態もないのに、軍務省や統帥本部の次長を譲らせるわけにもいかない。そんな中で、アムリッツァ星域の第11基地を大幅増築する案件と、ガイエスブルク要塞建設に伴う資材価格の高騰が要因で、戦闘艦の建造が予定の進捗を満たせていないこともあり、その調整と、要塞完成後に進捗の遅れを取り戻す計画策定をつなぎの任務として受けたわけだ。
来期からは、第11駐留基地の大幅増築と前線の駐留艦隊が増える事に対応する補給体制の確立が任務になるだろう。マリーンドルフ邸まではそんなに距離はない。門番に運転手が名を名乗り、邸内に進んでいく。もうすぐ邸宅というあたりで、地上車の窓からキョロキョロしている8歳位の淑女が見えた。困りごとの様なので、地上車を止め、車を降りる。
「フロイライン、こんな所で如何なされました?何かお困りごとですか?」
「母の付き添いで参りましたが、退屈なので庭園を見て回っておりましたの。丁度、満足したところです。お屋敷に戻ろうと思いますのでエスコートして頂ければ幸いですわ。」
黒髪に黒い瞳の、ややおてんば風な少女が、すこし恥ずかし気に返答した。まあ迷ったか、うろうろしているうちに足が疲れたのだろう。幼いながらにパンプスを履いているし、とても歩き回る装いではない。まあ、幼いとはいえ一人前のレディー扱いしておけば問題ないだろう。
「それは光栄なことでございます。不肖ながらこのザイトリッツ、姫君のエスコートをさせて頂きましょう。」
やや芝居がかった感じになってしまったが、姫君のお気に召したらしい。良きにはからえなどと言いながら手を差し出してくる。俺はやさしくてを添えると、姫君を同乗させて邸宅へ向かった。
邸宅に到着すると、先に車を降りて姫君をエスコートする。すると、何やら慌てた感じで、俺より少し年上であろう淑女が駆け寄ってきた。
「マグダレーナ!どこに行っていたのです?部屋で大人しくしていてとお願いしたはずです。使用人たちにあなたを探してもらう所だったのですよ?」
結構な権幕だが、姫君はどこ吹く風だ。
「お母様、庭園をみておりましたら、足がくたびれて難儀していたのです。どうしたものかと思っていたら、こちらのナイトが声をかけてくれたのでエスコートをお願いしたのですわ。」
「はい。このザイトリッツ、姫君をエスコート出来、光栄にございました。ただご母堂がご心配されたのも事実。詫びるべき時に詫びるのも、淑女のマナーかと存じますが・・。」
というと、少しすました顔をしながら詫び口上を述べた。母親はどうやら俺が誰か分かったらしく対応に困っていた様子だったが
「さすが姫君でご
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