48話:帝都での日々
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た。私も体験してこなかったことだが、これが一般的な一家団欒というものなのだろう。前菜の皿が下げられサラダが運ばれてくる。配膳を終えたタイミングで
「うーん。このアレンジはワルターの物とは少し違うね?オスカーが考えたのかな?」
と夫が二人を見ながら話しかけた。
「はい。シェーンコップ卿にお願いして私の案を採用していただきました。どこか不備がございましたでしょうか?」
「いや、アレンジの仕方が少し違うから確認しただけだよ。ワルターのアレンジはどちらかというと分かるものにはわかる遊び心のようなものを感じるが、このサラダからは雅さのようなものを感じたからね。二人ともいずれはもてなす側になるのだから今から色々と試してみればいい。また楽しみが増えたよ。」
オスカーが少し不安げに答えたが、夫は満足げな様子だ。確かに雅と表現するとしっくりくるものがある。
「いつものは楽しい感じだけど、今日のはすごくきれい。」
そう目を輝かせながら、長女のフリーダが楽しそうに食べ始める。その隣で、心配そうに見守るのはパウル君。なんやかんやと世話を焼いてくれる。こんな日が続けばいいと思うが、上級大将という重責を夫は担っている。最前線に赴任し、大功を上げた事で、休暇に近い状況が許されているが、いつまでもという訳にはいかないだろう。今はこの幸せな時間を少しでも楽しむことにしよう。
宇宙歴777年 帝国歴468年 11月下旬
首都星オーディン リューデリッツ邸
ザイトリッツ・フォン・リューデリッツ
「先方もまだ落ち着いてはおられまい。お祝いを述べたら長居はせずに戻ることになるだろう。そのつもりでいてくれ。」
屋敷の者にそう伝えて、俺は地上車に乗り込む。今から向かうのはマリーンドルフ邸だ。ご結婚されてからしばらく間が開いたが、フランツ先輩ことマリーンドルフ伯に待望の子供が誕生した。生まれたのは秋になるかどうかという時期だったが、出産直後に押しかけても迷惑なだけだし、親族なども押しかけているだろうという事で、少し間をあける事にした。
もちろん誕生の知らせを受けると同時に祝辞は届けたが、ようやく落ち着いたとの知らせを受けて、お祝いのご挨拶に伺う。今日は内輪の話なので、軍服ではなく、少しクラシカルなスーツを着ている。上級大将の軍服など着て歩けば、目立ってしまいプライベートもへったくれもない。私事でも軍服を着る軍人は多いが、俺は少数派に属するという事だ。
上級大将といえば、現在の私の役職は「帝国軍最高幕僚会議常任委員」と「工廠部部長」という事になっている。これは軍部の意向と私のわがままの間を取った結果だった。軍としては艦隊司令として、時には数個艦隊を率いる事を想定したポジションを用意したがったが、3年、強固な要塞とは言え最前線に赴任し
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