宿命の戦いへ
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け寄ってくるのが見えた。
「何の用だ?」
ネモが応対する。
「はっ。次の作戦会議に、お2人にも出席をお願いしたいと、大隊長からの要請です」
私達は顔を見合わせる。
戦況の僅かな情報すら伝え渋っていた彼らが、今更、私達に何の用なのだろう?
ここで考えていても仕方ないことではあった。
私達は、頷きあってから、
「わかった、行こう。案内してくれ」
兵士の後ろを付いて、作戦会議室へと向かった。
「おおっ、来てくれたか!」
ドアを開けると、数人の小隊長達が、テーブルを囲んで、向かい合っていた。
歓迎するように声を上げたのは、魔の谷で、私達と共に戦った、あの時の部隊長だった。
他の男達の私を見る目は、依然として険しく、なんでこんな奴らを呼んだんだ? と今にも言いたそうだった。
「こんな小娘共に、この状況を打破できると、本当に、思っているのか? ロイオンよ」
会議の中心に居た大隊長が、あの部隊長──ロイオンに向かって尋ねた。
大隊長が呼んでいると聞いてきた私達だったが、実際は、彼、ロイオンの進言によって連れてこられたようだった。
「ああ。以前も説明したが、我々の部隊は、この2人がいなければ、あの谷の戦いで全滅していただろう。今、我々が戦っている敵の主力部隊を、あの時、単独で撤退に追い込んだのだ。現状、この砦にいる人材の中では、間違いなく最強の兵士だ」
ロイオンは、興奮気味にまくしたてる。
「そうまで言うか? こんなよそ者の小娘に……」
その場にいる殆どが、私達に疑いの目を向けてきていた。
「戦いに加えて頂けるというのであれば、我々にも、戦況を聞かせてください」
そんな中でも、ネモは平然と彼らに尋ねた。
その態度は、多くの小隊長の癇に障ったようだが、ネモは気にも留めていないようだった。
「ふん……、貴様等が、どれほどの役に立つか分かったものではないが……まあ、いいだろう」
大隊長は、戦況を説明し始めた。
大隊長が話した戦況からわかったことは、魔王軍が、日々、じりじりと、ベスフル軍に押され始めているということだった。
最初は数で圧倒していたはずの魔王軍も、大隊長の口ぶりから、今となっては戦力差で勝っているか怪しいように思えた。
「あの男、ヴィレント・クローティスを止めない限り、我々に勝利は難しい」
それが、彼らが苦い表情で出した結論だった。
こちらの主力と敵の主力が戦っているところで、側面、あるいは背後から、兄が率いる少数部隊が奇襲をかけてくるというのが、ベスフル軍の戦い方だという。
兄は、魔の谷の時と同じような、少数の部隊を率いて攻めることを得意としているようだった。
魔王軍は、初戦で辛酸をなめることにはなったが、その時は、特に大きな焦りはなかったのだという。
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