191部分:第十三話 命を捨ててもその三
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第十三話 命を捨ててもその三
「純粋のプロイセンの、そしてドイツと民のことを考えているのだ」
「純粋なのですか、ビスマルク卿が」
「まさか。あの方は」
「純粋とはかなり」
「言えないのでは」
誰もがそう言う。しかしだった。
王はだ。それでもであった。まだそう言うのであった。
「私がない。野心もないのだ」
「ドイツ統一は野心ではないのですか」
「プロイセンの伸張も」
「それではないのですか」
「そうだ。それはドイツを想ってのことだ」
あくまでだ。そうだというのであった。
「父なるドイツをだ」
「父なるこのドイツを想うからこそ」
「謀略を使い戦争もする」
「しかしなのですか」
「そこには私はない」
「そして野心もない」
「そうだ、だからこそ私はあの方を嫌いではない」
むしろだ。高く評価していた。それはビスマルクも同じだった。二人は心の奥底でだ。互いに認め合い理解し合うものを持っているのだ。
「あの方がプロイセンにおられる」
「それが大きいですか」
「この戦争には」
「あの方の存在がですか」
「その通りだ。例え国力が拮抗していようとも」
それでもだというのであった。王はまた話す。
「この戦争は。短いうちに終わると思う」
「短いうちにですか」
「終わりますか」
「だといいのですが」
「その際バイエルンは何をするべきか」
話の核心だった。そのバイエルンのことだ。
「それが問題だが」
「はい、それです」
「我がバイエルンはオーストリアにつきます」
「ですから。ここはやはり」
「積極的に戦うべきです」
誰もがこう主張する。バイエルンはだ。元々宗教的、そして地理的、政治的な理由からだ。プロイセンに対していい感情を持っていないのだ。
だからこそだ。彼等もだ。王に進言するのだった。
「プロイセンが有利ならです」
「オーストリアに助太刀してそのうえで」
「プロイセンを倒すべきです」
「そうするべきではないのですか」
「感情ではな」
王は彼等の主張の源をわかっていた。だからこそ冷静に述べた。
「そうあるべきだ」
「ではやはりです」
「ここはです」
「そうされましょう」
「プロイセンを」
「私は戦争を好まない」
王はここでもこのことを言葉に出した。それはどうしても変わらない。王は戦争に対してだ。何一つとして肯定的なものを見出していなかった。
それでだ。このことをまた話すのだった。
「今の時点においては好戦的なプロイセンも好きになれない」
「では余計にです」
「オーストリアに助太刀して」
「そうあるべきです」
「そうしましょう」
「いや、ここで避けるべきはだ」
それが何か。王はまた話した。
「我が国が属国になることだ」
「それをで
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