魔の谷攻防戦
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のまま砦の指揮官に伝えていた。
直接、戦いを見ていない砦の指揮官や兵士達は、私に疑いの眼差しを向けてきたが、それも仕方のないことなのかもしれない。
私自身も、今日の戦果には驚いているのだから。
その後、私達に、驚きの情報が、砦の指揮官よりもたらされた。
「魔の谷の作戦で、生き残ったのは、お前達の部隊だけだ」
私達とは別行動をとっていた2部隊、彼らは、ほぼ全滅していたのだという。
僅か数名の生き残りが、私達より先にこの砦に到着し、その事実を伝えていたらしい。
全滅の報告を聞いた時、私達が想像したのは、きっと、先にあの大部隊と遭遇してしまい、なす術もなくやられたのだろうということだった。
だが、その想像は違っていた。
彼らが交戦したのは、別の部隊だった。
彼らは、私達とは逆側の崖道を行く途中に、少数の部隊と遭遇、交戦したのだという。
そして、彼らより人数で劣るその敵部隊に、殆ど損害を与えることなく、2部隊は全滅したそうだ。
報告によると、その結果をもたらしたのは、敵部隊の強さというより、その先頭で剣を振るう1人の男の異常な強さによるものだということだった。
「敵にもそのような強者が? いったい何者だ?」
部隊長が聞き返す。
そんな話を聞かされて、私にとって、思い当たる人物など1人しかいない。
指揮官の口から出たその名前は、
──ヴィレント・クローティス──
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