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緑の楽園
第三章
第29話 人間
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かりました。ただ、それがどうして、国王を暗殺して遺跡の発掘を阻止しようとしたり、あなたがスパイで城に潜り込んだりすることになるんですか? 『あなた方のルーツ』と『あの遺跡を触らせないこと』が全然つながらないんですが」

 素直に疑問をぶつけた。
 ヤハラはそれを、表情一つ変えずに受け止める。

「亜人に現状以上の文明など必要ないからだ」
「え?」
「化石燃料については、もう埋蔵量はわずかであり、本格的な採掘技術も失われている。化石燃料がない以上、産業革命は起きぬだろう。よって、放置したとしても、連中が分不相応な文明を築いてしまう可能性は限りなく低い」

「分不相応……」
「そうだ。しかし万が一ということもある。不穏な動きがないかどうか監視をし、亜人が分不相応なものを手にしようとしているのであれば、我々は何らかの方法でそれを阻止する必要がある」
「……」
「そこで我々は、主要な国には監視役を置いた。何かあれば、この国に存在する本部に連絡が入り、すみやかに対策が取れるようにな。
 この国の首都で監視をしているメンバーの責任者が、この私ということだ。この国の参謀として潜り込んでもう二十年以上になる」

 彼は淡々と、それがごく当然かのように話しているが、先ほどから語られているその内容は、俺には全く共感できるものではない。
 生理的に受け付けない――俺の体がそう言って、ヤハラの一言一言を弾いていた。

「先代国王を殺して、今の国王も遺跡で殺そうとしたのも、そういうことだったわけですか。いや、この前の砦の攻略戦のときもそうか……。敗退するように、わざと穴のある布陣を提案したんですね」
「そうだ。砦の占領に失敗すれば発掘は再開できない。まあ、結局どちらの作戦も失敗したわけだがな」

 薄暗い中で確認できる範囲では、彼の表情は変わらない。が、さすがに少し、声から感じられる自信が落ちた。
 やはり、組織としては大きな失敗だったのだろう。
 すでに遺跡の発掘は再開されている。国王暗殺も既にネタバレしている以上、同じ手で発掘の継続を阻止することはできない。
 今ごろ、本部では別の手段の検討を余儀なくされているのかもしれない。

「じゃあ、二つ目の確信というのは?」
「もう一つの確信は、お前を一刻も早く確保し、我々に味方するのかどうかの確認を取らなければならないということだった。お前が亜人どもの手中にあれば、今後次々と遺跡を発見し、掘り出していってしまう可能性がある」
「なるほど……そうですか」

 他の遺跡を発見して、発掘のアドバイスをする。
 そんなことは、考え付きもしなかった。
 報告書は言われたから書いただけだし、あれ以上のことを自分から手伝うという発想自体がなかった。
 俺はそこまで主体性のある存在ではな
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