第二十一話 屍のウェールズ
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なんてね。』
不完全なウェールズの姿から、氷の堕天使の姿へと変じ、堕天使はダーク・アルマロスを見て言った。
「あんた!」
『やあ、虚無の使い手。まさかこんな逸材がいるなんて、思わなかったよ。』
「黙りなさい! よくもウェールズ皇子を!」
『そうだね…。せっかく王家を家畜にする絶好のタイミングだったのに、残念だ。」
「家畜ですって!?」
『王家の血…、とりわけ濃いメイジの血筋は、我にとって極上の供物。逃すにはあまりに惜しい。ウェールズの遺体を使って、メスを確保しようと思ったのだが…。邪魔をされてしまった。』
「あんた…人間をなんだと…。」
『魔を使えない平民と呼ばれる者達を家畜のように使っているお前たちが言うことか? それなのにメイジを王家の者を家畜として何が悪い?』
「ふざけんじゃないわよ!」
『フォオオオオオン!』
ダーク・アルマロスが、氷の堕天使に迫った。
氷の堕天使は宙に浮き、逃げた。
『だが残念だ。もう君は限界だろう。』
『フォ……。』
「アルマロス!?」
ダーク・アルマロスが膝をついた。
そして前に倒れた。
ブスブスと闇が溢れ、周りに闇の煙をまき散らし始めた。
アンリエッタが咳き込んだ。ルイズも咳き込んだ。
『フォオ…ォオォォオン…。』
「あ、アルマロス…、アルマロス!!」
『このままトリスティン一帯を闇で汚すといい。そうなればむこう百数年はまともにペンペン草も育つまい。』
「アルマロスーーー!!」
ルイズが、闇の煙の中に駆け込もうとした。
近づけば近づくほど闇は濃くなり、肺を穢した。
膝を折りそうになるが、堪え、闇の中心に入った。
闇でまったく見えない中、ルイズは、アルマロスを探った。
やがて何かに触れた。
アルマロス!っと、ルイズは思った。
触れた指が焼けるように冷たい。
このままここにいたら、触り続けていたら、無事じゃあ済まないだろう。
それでもルイズは、アルマロスに顔を近づけた。
「アルマロス…。ああ、神様…。どうか…。私のすべてを捧げてもいい…、だから、だから…どうか…、アルマロスを…。」
ルイズは、ハルケギニアの神に祈りながら、アルマロスに口付けた。
凄まじい光が、闇を払い、光の中心に、白い翼と黒い翼が羽ばたいた。
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