第十七話 削れ行く堕天使の命
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ような低い声が聞こえた。
『我の氷に触れて、なおそこまでするか…。よい根性をしている…。だが、その天使は…。』
「うるさい!」
ルイズは叫んだ。
ゆっくりと、だが確実にアルマロスの右胸から氷の塊が抜け始めた。
『…ほう?』
低い声は、感心したように声を漏らした。
「あああああああああああああ!!」
そしてついにアルマロスの右胸から氷が抜けた。
氷は抜けると、宙で飛散した。
アルマロスの右胸から闇色の煙が出てくる。
「アルマロス! アルマロス!」
ルイズは火傷した手でアルマロスの体を揺すった。
アルマロスの閉じられた瞼がピクピクと反応した。
やがてゆっくりと目が開いた。
「フォオン…?」
「アルマロス!!」
起き上がったアルマロスは、自分の右胸を見て、手で撫でた。するとウォッチャースーツが傷を塞いだ。
「アルマロス…。」
「フォオン!」
アルマロスは、ルイズの手が酷いやけどになっているのを見て驚いた。
「よかった…。」
ルイズは、泣きながらアルマロスに抱き付いた。
『ほう…、大した根性だ…。』
「フォオン!?」
アルマロスは、その声を聞いて宙を見回した。
空が陰っており、空の向こうからその声が聞こえているようだった。
『異界の天使よ…、いや、堕天使か? まさか我と同じとはな…。』
「フォオオン…。」
『我が何者かだと? 我は、この世界で堕天使と呼ばれている者…。名はない…。我は、ハルゲニアの神により奪われた無様な堕天使よ。我の前にこれからも歯向かうのなら、我は容赦はしない。覚えておけ。異界の堕天使よ。』
そして声は聞こえなくなった。
アルマロスは、自分を抱きしめて泣いているルイズを慰めながら、先ほどの言葉を思い返した。
自分を異界の堕天使と呼んだ相手は、この世界の堕天使らしい。
先ほどの氷の矢も、その堕天使が放ったものだろう。
最近降っていた不吉な雪も、その堕天使によるものだとしたら、何かもっと不吉なことが起ころうとしているのかもしれない。
例えそうだとしても自分は……。
アルマロスは、ルイズを抱きしめた。
必ず守ってみせる。
そうアルマロスは決意した。
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