第十六話 痛み
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アルマロスが思っていると、ルイズがポロポロと涙をこぼしだした。
「もう、嫌い、大っ嫌い!」
「フォオン…。」
「バカ、嫌い……。嘘よ…ごめんなさい…。」
なんだかとっても情緒不安定な様子である。
「おお、やっと戻ってきたかね。」
オスマンが出迎えた。
「もう大変じゃったんじゃよ? これからはできる限りミス・ヴァリエールから離れんでいてくれんかね?」
「フォオン。」
なんだから自分がいない間、ルイズは大変だったらしいことが分かった。
「うう〜。」
ルイズを落ち着かせるため、ルイズを抱きしめると、抱きしめ返された。
ポンポンと背中を叩き、頭を撫でる。
アルマロスの胸に顔を押し付けグスグスと泣いていたルイズはやがて落ち着いた。
「別に…心配してたわけじゃないんだからね?」
「フォォン。」
「ところで何か収穫はあったわけ? 宝探しに行ってたんでしょ?」
「フォ。」
アルマロスは、ガーレを見せた。
「何それ? もしかして、それがガーレ?」
そうだとアルマロスは頷いた。
「ええ、やっぱりあったんだ。」
やはりこの世界には、アルマロスがもといた世界の技術が流出している。理由は分からない。
すると風が吹いた。
冷たい風だった。
「また…。」
ルイズが眉間を寄せた。
アルマロスは、空を見上げた。
雲がかかって少し灰色がかった空から、僅かな雪がちらついた。
雪とは…、こんなに嫌なものだっただろうか?
なんだか嫌な感じがする冷たい風と、雪にアルマロスも眉間を寄せた。
ズキリッ
「フォ…!」
「アルマロス? アルマロス!」
急に痛み出した右胸を押え、アルマロスは膝をついた。
アルマロスは、そのまま倒れた。
ルイズの悲鳴と心配する顔が、アルマロスが最後に聞いて見たものだった。
***
『イーノックだけでも助かってよかったよ。おまえも嬉しいだろう?』
ああ、自分は許されないのだ。
黒い彼に冥界に置き去りにされ、ベリアルの闇に飲まれた。
次に意識を取り戻した時、再びイーノックと対峙していた。自分はもうネザー体に変化していて自分が自分なのか分からない状態だった。
早く。早く。自分を止めてくれと願った。自分を倒してくれとイーノックに向けて願った。
そして崩れいく体。闇の瘴気が溢れ出る中、声の出ない口を動かし、お礼の言葉を言った。
ありがとうっと。
そして、すべてが闇に染まり、気が付くと、自分は……。
アルマロスは、そこで目を覚ました。
ふと横を見ると、ベットの端に顔を伏せているルイズの頭があった。
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