第十三話 冷たい手
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ウトとルイズが眠りだした。
ルイズが寝入ったのを確認してから、アルマロスも目を閉じた。
***
暗闇。
どす黒い。冥界の闇とも違う、どんよりとした気持ちの悪い黒が広がっていた。
それでいて冷たい。
自分の体は、堕天したことで冷え切ってしまったが、それ以上に冷たい気がした。
氷よりも冷たいような気がした。
『………れ……。』
地の底から響いてくるような低い声が聞こえた。
『おのれ……おのれ…! よくも、よくも! 名を…、我の名を…、返せ!』
どういうことだっと、アルマロスが思っていた時、ドスッと右胸に衝撃が走った。
見ると…右胸に……。
そこで目が覚めた。
ガバリッと起き上がったアルマロスは、額を抑えた。
それから確かめるように右胸を見た。なんともなってなかった。
ホッとして、溜息を吐いた。
横を見ると、ルイズが静かに寝息を立てて寝ていた。
ルイズがいる。これは現実だと分かり、もっとホッとした。
あの夢は何だったのだろう?
夢にしては不気味であったし、あの声は…。
「うぅん…。」
ルイズが眉間にしわを寄せてうなされた。
何か悪い夢を見ているのかと、そっと手を伸ばして、頭を撫でた。
それに安心したのか、ルイズの顔が安らぎ寝息も一定になった。
ルイズの頭を撫でてやりながら、アルマロスは再び横になった。
あの夢の中に出てきた声がいまだ頭から離れない。
嫌な予感がする。
アルマロスは考えた。
もしものことがあったなら…、自分は…。
脳裏に、自分を慕ってくれる子供達、大人達、そして…ルイズの顔が過った。
アルマロスは、拳を握り、決意を新たにし、目を閉じた。
ルイズは、ふと目を開けた。
目の前にはアルマロスの寝顔。
「……冷たい手…。」
自分の頭に置かれていたアルマロスの手を、ソッとどける。
撫でていてくれたのだろうか?
よく覚えていないがちょっと嫌な夢を見ていて途中からいい夢に変わったような気がする。
なんとなくアルマロスの手に自分の手を重ねて、大きさを比べてみた。
「大きな手…。」
身長差もあるのだから手の大きさの差もある。
左手の甲を見れば、ルーンが刻まれている。自分の使い魔である証だ。右胸は服と布団で隠れているが、そこにもルーンがあるはずだ。
「ねえ、アルマロス…。私、感謝してるのよ? あなたが私の召還で来てくれたこと…、あなたに会えたこと…。好きよ…、アルマロス。」
果たしてその好きという言葉の意味は…。
ルイズにもよくわからなかった。けれど素直に出てき
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