第十三話 冷たい手
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ベールが倒れてた。しかも周りは火の海。
ギョッとしてアルマロスは、すぐに水を生成してぶっかけ、ルイズのところへ駆け寄った。
「あ、アルマロス…、ごめんなさい。」
「フォォォン。」
あとで聞いたら、コルベールが誰かこのからくりを動かすために点火してみないかと持ち掛けたのだが、反応が薄い状況で効果はなさず、モンモランシーに挑発されたルイズが名乗り出てやったところ、見事に爆発で終わってしまったのだそうだ。
後片付けは大変で、前の爆発事件(シュヴルーズの授業の時の錬金)の時より手間がかかった。なにせ水浸しだったのだから。
「そういえばアルマロスって水を操れるのよね。武術の達人だし、水も操れるなんてどんだけ万能なのよ。」
「フォォン。」
そんなことはないとアルマロスは、首を振った。
これだけの力はあったが、イーノックに完敗したのだ。
アルマロスは、溜息を吐いた。
あの時、ワルドを倒しきれなかった。自分の力はこの程度だったのだろうかと自分の拳を見つめた。
「アルマロス?」
「フォオン。」
なんでもないとアルマロスは首を振った。
後片付けが終わったのは、結局夜になってしまった。
クタクタのルイズは、ベットに倒れ込むように横になり、アルマロスは、それを見てからカーテンを開け、空の月を見た。
二つの月が浮かんだ夜空。
ああ、やはりこの世界は自分がいた世界じゃない。
あらためてそれを思う。
「ねえ、アルマロス…。」
「フォ?」
「…元の世界に帰りたいって思う?」
いきなりそんなことを聞かれたので、アルマロスは、キョトンッとした。
「別に変な意味はないわよ…。ただ、あなたはこの世界の堕天使じゃないんでしょ? だから、元世界が恋しいとか…そういう気持ちとかってやっぱりあるのかなって、思って…。」
「フォォン…。」
恋しくないと言ったら嘘になるが、元の世界に帰ったところで、待っているのは永遠の牢獄だ。
堕天という大罪を犯した天使に待つのは、過酷な罰だけだ。
不可抗力とはいえ、この世界に来て、アルマロスは、よかったと思っている。
アルマロスは、ベットの端に腰かけ、ノートに字を書いた。
『僕を召喚してくれて、ありがとう。』っと書いた。
ルイズは、その字を見ると、涙ぐんだ。
最近涙腺が弱くなっているなと思いつつ、ルイズは、ぐしっと涙を乱暴に拭った。
「ねえ、アルマロス。…ベットで寝る?」
「フォ?」
「いやなんていうか…、いっつも床で座って寝てるでしょ? やっぱり横になって寝た方がいいんじゃないかと思って…。それとも私と一緒はイヤ?」
アルマロスは、そんなことはないと首を振った。
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