第十二話 封印されていた、魔
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申し訳ありません。」
『まあいい……。異界の者ではロクに力を使えんだろう。今は捨て置く。』
「さようですか。」
『では、早速だが、供物を用意せよ。我をこの大地の楔より解き放て。』
「仰せのままに。」
アルビオンに、冷気の風が吹いた。
***
魔法学院に戻って、三日。
アルマロスは、ブルッと震えた。
誰かに噂でもされたかと、周りをキョロキョロ見渡したが、そんなことはなかった。
そういえば、アンリエッタが、ゲルマニアに嫁ぐことが正式に発表されたことを思い出した。
ウェールズを好いていた彼女が、上に立つ者として国を守るためにその身を捧げる。好いた人間と結ばれないのは、上に立つ者の宿命といえるだろう。
彼は…、ウェールズは、空の上で見守っていてくれているだろうか?
そんなことを思いながら、空を見上げた。
「アルマロス先生!」
「フォォン。」
呼ばれてアルマロスは振り返った。
最近じゃ、そう呼ばれることがしばしばだ。
ついでに体育の授業じゃ、アルマロスのダンスに魅了された教師が生徒達に教えてやってくれと頭を下げに来るくらいだ。
アルマロスもできるだけ応えようとした。
激しいダンスばかりじゃなく、簡単な振り付けから、知っている限りの色んな種類の踊りを披露した。
どの踊りが一番とかはない。だが思春期の生徒達の多くは、技術点が高い踊りを踊りたがったが、体がついていけず、ほとんどがへばった。
教えるのはダンスばかりじゃなく、格闘技も教えることもあった。
メイジは、基本的に詠唱を使い魔や誰かに守ってもらわなければならず、疾風の二つ名を持っていたワルドのように詠唱を素早く行う訓練を行わないとすぐに魔法を妨害されてしまう。まあ、言ってしまえば基本的に肉体的には弱いのだ。
メイジ殺しなどと呼ばれる鍛え抜かれた平民がいるほどなので、肉体的には平民の方が上であろう。まあ魔法を使えないハンデを乗り越えるために鍛えた結果なのだろうが。
特に魔法衛士ともなれば、詠唱をしつつ体を動かすという難易度が高い技が要求されるため、普段から体を動かすべきだとオスマンが提唱。結果、格闘技の達人であるアルマロスに白羽の矢が立った。
だがすぐには格闘技は教えない。まずは基本からと、走らせたり、柔軟をさせたりと、体力づくりと身体づくりから始めたのだが、まあ、生徒達からブーイングが上がった。
魔法の源である精神力を基本とするメイジ達にとって、体力を使う作業は地獄だったのだ。
アルマロスは、生徒達の体力の無さに溜息をつかずにいられなかった。
基本の身体づくりをしないことには、格闘技を教えても怪我をするだけだと主張。それに
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