第十二話 封印されていた、魔
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体が、彼らの体を丸呑みにしていた。そこにいた傭兵達は、液体の中にゴポンっと飲み込まれ姿を消した。
『………無様な…。』
地の底から上がるような低い声がどこからか聞こえて来た。
『目覚めてみればなんと醜いことよ……。忌々しいアルビオンの王族どもめ…、この我を封印し続けておきながら最後はこの様か…。』
液体がゴボゴボと泡立った。
「おお…、そこにおられたのですね?」
そこへ一人の男がやってきた。
『誰だ?』
「失礼しました。」
男は恭しく跪いた。
「私は、オリヴァー・クロムウェル。レコン・キスタの総司令を務める者です。」
『そのような男が、我に、何用だ?』
「何を言っておられるのです? あなたはこのアルビオンの真の守護たる存在であるのになぜぞんざいにできましょう。」
『ククク…、我を守護だと? 我はこの世界の神により、名を奪われし、無様な堕天使よ。確かにこの大陸は我がかつて支配していた地ではあるが、すでにお前達人間ものではないか。』
「そのようなことを言われないでくだされ。あなたは、封印されてなおその力はご健在でしょう。アルビオンの大陸が浮かんでいるのがその証拠ではありませんか!」
『……アルビオンの王族の祖は、我をこの地に埋め込み、陸地ごと浮かせて我を目覚めから遠ざけんとした。だがその子孫共は己が臣下どもに反旗を翻され、この様…。我がこの手でと思っていたのだが…、ああなんと嘆かわしい…。』
「申し訳ない…。ですが、彼奴らは、名誉ある死を選び、我ら反乱軍に自軍の十倍もの損害を出したのです。彼奴らは、あなたを封印しこの地へ封印した伝説に勝る戦いをしたのです。」
『…ほう? そうか…。しかし忘れられた伝説を知ってるとは、随分と物知りだな?』
「これよりこの地の実質的な統治者となる者として、その大地の知識は知っておかねばなりません。しかし真の支配者はあなただ。」
『ほう? 人間が自ら我に支配を求めるのか?』
「この大地を支える者。あなたこそが真にアルビオンの支配者ではないですか?」
『……いいだろう。』
土留め色の液体が大きく波打った。
『ならば、我のため、捧げよ。血を、肉を。我を封印せし王族共は滅んだ。代わりに、貴族共の血肉を我に捧げよ。魔の力を操りし、血統は、供物なり。王家の血は、さらに上の極上の供物なり。』
「仰せのままに。」
『その前に聞く。』
「はい。」
『この地に、我の知らぬ天使の気配が残っている。これは、なんだ?』
「さあ…、申し訳ございません。存じ上げません。」
『これは…、恐らくは異界の天使のものだろう。異界より誰が天使を呼んだ? なぜ我から名を奪った神は、その天使を見逃している? その天使はどこへ行った?』
「…
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