第十話 亡国と堕天使
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ていた。
ルイズは、ふらふらとアルマロスに近づき、ポスッとアルマロスに抱き付いた。
「嫌だわ…、あの人達…。どうして死を選ぶの…?」
アルマロスは、ルイズを見おろした。
「ねえ、アルマロス…、あなたはどう思う? 人間のために人間が死ぬの…、誇りだとか、名誉だとかのために、死ぬの。貴族だとか王族だとか、そんなもののために死んでいくの…。私だって口じゃヴァリエール家のためだとか、名誉だとか言ってても、怖いわ…。なのにあの人達は…。」
アルマロスの腰に手を回しているルイズの手に力がこもる。
「あなたの世界の人間はどうだったの? あなた達堕天使のために命を捧げたりしたの? アルビオンの王党派のあの人達のように死んでいった人達もいたんでしょう? それでもあなた達は堕天してよかったって思ってたの? ねえ、……答えてよ。」
「フォオオン…。」
言葉を失っているアルマロスは、ルイズの頭を撫でた。
自らの死の意味を選べることも、また可能性の一つなのだと、そう言いたかった。
でも、言えなかった。
「トリスティンに帰りたい…。この国嫌い。あの皇子様もよ…、残される人達のことなんて考えてないんだわ。」
アルマロスに顔を押し付けて、泣きながら呟き続けるルイズの頭を、アルマロスは撫で続けた。
「アルマロス…、アルマロスぅ…。」
「フォオン…。」
確かめるように名前を呼んでくるルイズに、アルマロスは返事を返した。
明日、ウェールズ達は死ぬ。
人間の儚さに触れ、アルマロスの目から、一筋の涙が零れた。
ルイズは、そのことに気付かなかった。
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