第十話 亡国と堕天使
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を横に振った。
それでもルイズは懇願した。亡命してくれと。生きてくれと。
アルマロスは、そんなルイズを見て、辛そうに目をそらした。
「君は正直な女の子だな。ラ・ヴァリエール嬢。正直で、真っ直ぐで、良い目をしている。忠告しよう。そのような正直では大使は務まらぬよ。しっかりしなさい。」
ウェールズは、微笑んで、ルイズの肩を叩いた。
「そろそろパーティーの時間だ。君達は我らが王国が迎える最後の客だ。是非とも出席してほしい。」
ルイズとアルマロスは、退室し、ワルドは居残って、一礼した。
「まだ何か御用かな? 子爵殿。」
「恐れながら殿下にお願いしたい議がございます。」
「なんなりと伺おう。」
ワルドは、ウェールズに自分の願いを語った。
「なんともめでたい話じゃないか。喜んでお役目を引き受けよう。」
ウェールズは、にっこりと笑った。
***
明日滅びるというのに、華やかなパーティーだった。
ルイズとアルマロスは、会場の隅で、パーティーを見ていた。
「明日でお終いなのに…、随分と派手なものね…。」
「フォオン…。」
「終わりだからこそ、ああも明るく振る舞っているのだ。」
ワルドが来て、そう言った。
すると貴婦人達の歓声があがった。ウェールズが登場したのだ。
あれだけ凛々しい男が現れたら、どこでも人気があるだろう。
それからは、誰も暗いことを一言も言わず、笑い、歌い、飲み、食い、華やかなパーティーとなった。
アルビオン万歳っと叫ぶ彼らの声。
ルイズは、この場の空気に耐えられなくなったのか、外へ行ってしまった。
アルマロスは、すぐにその後を追おうとした。
するとワルドがアルマロスの肩を叩いた。
「明日、僕はルイズとここで結婚式をあげる。」
「フォォン?」
「是非とも、僕たちの婚姻の媒酌を、あの勇敢なウェールズ皇太子にお願いしたくなってね。皇太子も快く引き受けてくれた。決戦の前に、僕たちは式を挙げる。」
「……。」
アルマロスは何も言わなかったし、何も言えなかった。彼は声を持たない。
「君も出席してくれるかい?」
「フォオン…。」
自分はルイズと共にあるのだと、いうふうに、ワルドを見て、アルマロスは声を出した。
「そうか。頼もしい使い魔だね。君は。」
その一声で何が言いたのか察したワルドは、笑った。
そしてアルマロスは、ルイズを追って去った。
***
暗い廊下を小走りで進んでいくと、ルイズを見つけた。
「フォオオン。」
「アルマロス…。」
ルイズがハッとしてアルマロスを見た。
ルイズは、泣い
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