第十話 亡国と堕天使
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その船がかつて、ロイヤル・ソルヴリンと呼ばれた船だったが、今では貴族派に奪われ、レキシントン号と呼ばれていると説明された。
それからはまさに空賊のように見事な指示で、空を飛び、敵が知らない秘密の港に船を置いた。
そこは鍾乳洞で、コケが光っている。
ウェールズに促されて、ルイズ達は船を降りた。
それからウェールズとルイズ達を出迎えた老メイジが、ウェールズからマリー・ガラント号に積まれていたのが硫黄だと説明をうけると、それはそれは喜んだ。
彼らは言った。
これで王家の誇りと名誉を、示しつつ、敗北できると。
彼らはすでに敗北することを心に決めたうえで、戦って散ろうとしているのだ。
アルマロスは、ここにいる者達を見渡し、それを感じ取り、拳を強く握った。
ルイズも顔色を悪くしている。若い彼女にとって敗北による死はおそらく夢のまた夢のような話だっただろう。
ルイズ達は、パリーというその老メイジに歓迎され、最後の戦いに向けた最後の祝宴に招かれることになった。
***
ニューカッスル城へ案内されたルイズ達は、ウェールズの部屋へ案内された。
そこに問題の手紙があるらしい。
その部屋は、皇子の部屋とは思えないほど簡素だった。
ウェールズは、机から宝石が散りばめられた小箱を出し、その箱の鍵を開けた。箱の内側には、アンリエッタの肖像画が描かれている。そこに一通の手紙が入っていた。
何度も読み返したのだろう。手紙はボロボロで、ウェールズは、愛おしそうに手紙に口づけ、手紙を読み返した。
それから手紙を丁寧にたたみ、封筒に入れると、ルイズに渡した。
「このとおり、確かに返却したぞ。」
「ありがとうございます。」
ルイズは、深々と頭を下げた。
それからウェールズは、明日イーグル号が非戦闘員を乗せて出航するから、それに乗ってトリスティンに帰るようにと言った。
ルイズは、躊躇いがちに、聞いた。
王党派に勝ち目はないのかと。
ウェールズは、首を振った。
ウェールズ達は、300。敵は5万。とてもじゃないが万に一にも勝ち目がないのだと。
本当にギリギリだったのだと、アルマロスは思った。
あと少し遅かったらウェールズは、死んでいた。手紙も敵の手に渡っていただろう。
ルイズは、聞こうとした。
ウェールズとアンリエッタは、恋仲だったのじゃないかと。
ウェールズは、微笑んだ。
手紙の内容が恋文であること。アンリエッタが永久の愛をウェールズに誓っていることを。
それはそれは、愛おしそうに。切なそうに。
「殿下、亡命なさいませ!」
ルイズが叫んだ。
しかしウェールズは、首
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