第七話 風と水
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し、今にも王室が倒され、トリスティンに攻め込んできそうなこと。
「そうだったんですか…。」
ルイズは、沈んだ声で言った。
「いいのよ、ルイズ。好きな相手と結婚するなんて、物心ついたときから諦めていますわ。」
それは上に立つ者の宿命ともいえるだろう。
アルマロスも真剣にアンリエッタの話を聞いていた。
「礼儀知らずなアルビオンの貴族は、わたくしの婚姻をさまたがえるための材料を血眼になって探しています…。もし見つかってしまったら…。」
「まさか…姫様…。」
「おお、始祖ブリミルよ…、この不幸な姫をお救いください……。」
アンリエッタは、顔を両手で覆い、床に崩れ落ちた。
ちょっと動作が大げさというか、芝居がかっている。っと、アルマロスは思った。
「言ってください、姫様! いったい、姫様のご婚姻をさまたげる材料とはなんなんですか!?」
「……わたくしが以前したためた一通の手紙なのです。」
「手紙?」
「それがアルビオンの貴族達に渡ったら…、彼らはすぐにゲルマニアの皇室にそれを届けるでしょう…。」
「どんな内容に手紙なのです?」
「それは言えません……。」
同盟が潰れるほどの内容なのだ、よっぽどのことなのだろうとアルマロスは思った。
「その手紙はどこに?」
「それは手元にはないのです。実は、アルビオンにあるのです。」
「アルビオンですって! では、すでに敵の手中に?」
「いえ…、その手紙を持っているのは、アルビオンの反乱勢ではありません。王家のウェールズ皇太子が…。」
「プリンス・オブ・ウェールズ? あの凛々しい皇太子が…。」
ルイズが言うと、アンリエッタは、のけ反り、ベットに横たわった。
一々動作が芝居がかっているな…っと、アルマロスは思った。
「ああ、破滅ですわ! 遅かれ早かれ、ウェールズ皇太子は敵に囚われるわ! そうしたらあの手紙も明るみに出てしまう!」
アルマロスは、アンリエッタが何を言いたいのか、なんとなく察した。
ようするに、アルビオンに行って、その手紙を取ってきてくれということらしい。
ゲルマニアがいかなる国なのかは分からないが、同盟を結ばなければマズイほど世界情勢はよくないらしい。
そしてアルビオンの貴族達というのも、かなりの危険な連中らしい。
そんな状況に誰かを行かせるなんて、カモがネギしょって行くようなものだ。下手すると手紙が敵の手に渡る可能性が高い。むしろ死ぬ可能性が高い。
「アルマロス…。」
「フォオン?」
ルイズの言葉でハッとしたアルマロスは、ルイズの懇願するような目を見た。
ルイズが言いたいことは言われずとも分かった。
ルイズは、アンリエッタの願いを叶えたい。だ
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