第五話 土くれ
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土くれのフーケ。
今トリスティンの貴族達を恐怖に陥れている、盗賊の呼び名である。
土くれという二つ名は、固定化の魔法をかけた強固な壁などをたちどころに土くれに変えてしまうほどの強力な錬金の魔法を使うことから、付けられたものだ。
そのフーケは、現在、トリスティン魔法学院にいた。
本塔にある宝物庫にある、『神の拳』と呼ばれる宝を狙っているのだ。
だが魔法学院なだけなあり、守りは頑丈だ。
固定化の魔法はかかっていないが、とにかく分厚いのである。
フーケが自慢とする30メートルもある土のゴーレムを使ったとしても壊せそうにないのだ。
これに困ったフーケであるが、お宝を目の前にして諦めるような根性はしていない。
フーケは、どうするかと考え込んだ。
***
アルマロスが、校舎の本塔を見上げていることに、ルイズは気付いた。
「どうしたの?」
「フォン?」
ルイズに声をかけられて、アルマロスは、ハッとした。
「あそこは本塔よ。どうかした?」
ルイズが聞くと、アルマロスはなんでもないと首を振った。
そう言いつつ、アルマロスは、再び本塔を見上げた。
まるでそこに何かがあるみたいに…。
「本当にどうしたのよ?」
ルイズは、不思議がったが、アルマロスは答えなかった。
その謎は、その夜起こった。
「ねえ、ダーリン。やっぱり受け取ってもらえないかしら?」
「フォォォン…。」
またキュルケに言い寄られて、アルマロスは困った。
身振り手振りで断っているのだが、キュルケは引かない。
「なにやってんのよ!」
そこにルイズが駆けつけて、アルマロスはホッとした。
「おじゃま虫のヴァリエールが来たわ。」
「誰がおじゃま虫よ! アルマロスが困っているのにしつこいのよ、あんた!」
「照れてるだけよ。ねえ、ダーリン。」
「……。」
『いや、マジで困ってるだろ。』
デルフリンガーがツッコんだ。
「そんなことないわよ!」
「フォォォン…。」
『いやいや、ほんとに困ってるだろ、コレ。』
デルフリンガーの言葉を聞いて、キュルケはショックを受けた。
ルイズは、勝ち誇った顔をした。
「なによ、その顔!」
「ホントのこと言われて落ち込むあんた顔見れるなんて思わなかったからね。」
ルイズは、クスクスと笑った。
キュルケは、カチンッときたのか。
「言ってくれるじゃない…。」
っと、怖い顔で声を低くして言った。
「あら? やる気?」
「決闘? 望むところよ。」
二人が杖を出したところで、二人の杖が吹き飛ばされた。
「危険。」
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