第四話 喋る剣
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うちはまっとうな商売をしてまさあ。お上に目を付けられるようなことなんか、これっぽっちもありまんせや。」
「客よ。」
「こりゃ、おったまげた、貴族が剣を! おったまげた!」
っと店主はわざとらしいくらい驚いていた。
アルマロスは、キョロキョロと店に飾られた武器や、束で置かれた武器を見ていた。
『ジロジロ見てんじゃねぇぜ!』
剣の束を見ていたら、突然店主の声じゃない男の声が聞こえてきて、アルマロスもルイズも驚いた。
「誰よ?」
「やい、デル公! 黙ってろ!」
「でるこう?」
アルマロスは、声がした方を探して、乱雑に置かれた剣の束の中を探った。
『あ、こら! さわんじゃねぇよ!』
「フォ。」
アルマロスは、その中から一本の長剣を手にした。
剣は錆びれており、お世辞にも見栄えが良くない。
しかしデル公と呼ばれたその剣は、アルマロスに柄を掴まれると急に黙った。
「?」
アルマロスは、その剣をジッと見つめた。
『おめぇ……、いや…おかしいな…。なあ、おめぇ、左手見せてくれるか?』
言われて、アルマロスは、左手を見せた。
『そっちじゃねぇ。手の甲だ。』
言われて手の甲を見せた。そこには、ガンダールヴのルーンが刻まれている。
すると剣は、今度はブツブツと何かつぶやきだした。
『んなはずねぇ……、使い手のはずなのにこれは…、どうしたこった?』
「フォン?」
『なあ、おめえ、俺を買わねぇか?』
「何言ってんのよ。」
ルイズが言った。
『娘っ子、おめぇにゃ聞いてねぇ。なあ、買えよ。おめぇ、一応は使い手みたいだからよぉ。』
「?」
アルマロスは、使い手と言われても分からず首を傾げた。
自分を買えと言って来る剣に、アルマロスは、しばし考え、剣を持って店主の所に行った。
「それでいいの?」
アルマロスは、頷いた。
「これ、いくら?」
「百で結構でさ。」
「あら、安いわね。」
「こっちにしてみりゃ、厄介払いみたいなもんでさ。」
ルイズは、お金を払い、アルマロスは一緒に渡された鞘と一緒に喋る剣を受け取った。
『デルフリンガーってんだ。よろしくな。』
「フォン。」
『なんでぇ、おめぇ、喋れねぇのか?』
「…フォォン。」
デルフリンガーに言われ、アルマロスは、少し悲しそうに声を出した。
「デルフリンガー…、デルフって呼ぶわね。」
ルイズがそう言った。
デルフことデルフリンガーを手に入れたアルマロスとルイズは、店を後にした。
その後、二人と入れ替わりに、キュルケが店に入店し、店一番の剣を格安で手に入れ、店主がやけ酒を飲むということがあったのは別の話である。
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