第三話 堕天使とハルケゲニアの伝説
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葉がこれしか浮かばなかったが、使い魔の男が纏うオーラは、常人のそれではなかった。
ヴェストリの広場で始まった決闘を、シエスタ達も遠くから見ていた。野次馬の壁でほとんど見えなかったが、高く打ち上げられたワルキューレと、野次馬の言葉と、ワルキューレを破壊していると思われる鈍い音が使い魔の男がギーシュを圧倒していることをシエスタ達に教えた。
奇妙な、正体不明の人間。そもそも人間かどうかも怪しいところだが、ルイズの使い魔の男は素手でドットクラスのメイジであるギュースに完勝した。
戦いが終わった後、彼のもとへ駆け寄ったルイズが大声をあげて泣いてしまったので、使い魔の彼がどうしたらいいかオロオロしていたという。
それから間もなく、学院の教員に学院長室に呼び出さされた二人がどうなったかは、ただのメイドであるシエスタには分からない。
そして今、ヴェストリの広場でギーシュに勝ったルイズの使い魔が、あの奇妙な鎧ではなく、水を連想させる色のダンス衣装を纏って踊っている。
ルイズの姿はない。
シエスタは、メイドとして仕事をこなしながら、この学院にいる貴族達の娯楽や祭りなどで様々なダンスを見てきた。もちろん故郷のタルブでだって収穫祭の時には村の者達が豊作を祝い、大地への感謝のための踊りをすることはある。
しかしシエスタが今見ているルイズの使い魔の男の踊りは、娯楽といよりは神や大地への感謝を伝えるそれに近いように思えた。
男は、実に優雅に、だが本当に楽しそうに舞い踊っている。
上半身が大きく晒される大胆な衣装のせいで彼の鍛えられた腹筋や胸筋などが惜しげもなく見えてるし、地面につくほど長いアシッドグレイの髪が舞い踊るたびに宙を舞い絡まることなく夕日の光の下で輝いている。
シエスタは、踊っている男の姿に心を奪われ魅入っていた。
ダンスは、激しさを増し、突如男が前に歩く動作をしながらなぜか後ろに後退するという奇妙な動きをしたところで、シエスタは、その見たことがない奇怪な動きに堪らず短い悲鳴をあげて持っていた籠を落としてしまった。
シエスタの声と籠を落とした音に気付いた男が、踊りを止めてシエスタの方に振り返った。
「フォォン?」
「きゃっ! あ、あの…すみません!」
男が独特な甲高い声を出しながら近づいてきたので、シエスタは、慌てて籠を持って逃げ去っていった。
残された男、アルマロスは、ポカンッとその場に取り残されたのだった。
シエスタに逃げられてしまい、しょんぼりするアルマロスの後姿を、キュルケが物陰から見ていたのだが、アルマロスは気付いてなかった。
あと実は、アルマロスが踊りを踊りだしてからずっと見られていたのだが、そのことにも気付いていなかった。
キュルケは、それはそれ
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