第三話 堕天使とハルケゲニアの伝説
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ロスは、ルイズの片手を取り、その掌に指で字を書いた。
『僕は、もといた世界で人間達に崇められていたことがあった。でも、それは間違いだって友人から教えられた。だから僕のことを特別視しないで。それはルイズのためにならないから。』っと書いた。
そうアルマロスから伝えられても、ルイズは、どうしても踏ん切りがつかなかった。
ルイズは、アルマロスが堕天使だから気を使っているのではない。アルマロスが心から人間を愛し、その愛ゆえに神に背いた一途さと覚悟にショックを受け、その純粋な彼の心が貴族が偉ぶっているこの世界の在り方のせいで穢れてしまうのではと心配だからついつい気を使ってしまっていたのだ。
だから気を使わず気楽にしろと言われてもルイズの気持ちの問題でできない。
オスマンには、まだアルマロスが堕天使になった経緯は話してない。オスマンになら伝えてもいいだろうが、伝えたところでルイズの気持ちが変わらないだろう。
ルイズは、アルマロスを見た。
褐色の肌、金色の髪止めがついた癖の強い銀色の長い髪の毛、引き締まった頬とぽってりした鼻、優しげなラクダ目、海を思い浮かばせるような鮮やかな青い瞳。
先ほどアルマロスは、もといた世界で崇められていた時期があったと言っていた。崇めたくなる気持ちは別世界の住人のルイズでも分かる気がする。なんと例えればいいか分からないが人の心を惹きつける力が、おそらく無意識なのだろうがアルマロスは無差別に放っているのだ。
ルイズは、額に汗を滲ませてウーウーと声にならない呻き声をあげるだけで今後のことについて考えがまとまらない状態に陥った。
「…とりあえず、今日のところはここまでじゃ。部屋に戻ってゆっくり休みなさい。」
見かねたオスマンがそう言って対談を終わらせた。
ルイズがアルマロスに支えられながら退室していくのを見送った後、オスマンは、ソファーの背もたれにぐったりと背中を預けた。
ただでさえ高齢でしわしわの顔が無理な減量をしたボクサー並みにげっそりやつれてしまっていた。
「さすがわし…、よく頑張ったわし! あー、まさか堕天使だったとは…、それも異世界の…。しかも伝説の再来を同時に目撃することになるとは、長生きしててこんな後悔したことはないわい。」
この後、秘書ロングビルが水を持ってきて、オスマンがまともに動けるようなるまで数時間はかかったそうな…。
アルマロスに睨まれた時に放出されたアルマロスの堕天使のパワーの前に、偉大なメイジであるオスマンも大ダメージをは避けられなかったらしい。
下手にビビッて、なめられたらまずいと精神力を削って耐えてダメージを受けていることを隠し通したのである。オスマンの意地だった。
***
オス
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