第三話 堕天使とハルケゲニアの伝説
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ているし見たこともあるのでそれだけで特別だとは決めつけることはできなかった。
「ミス・ヴァリエールからは何か聞いたのかね?」
「いいえ…、まだ何も……、ただ、ミス・ヴァリエールは、何か隠している様子ではあります。」
「何かあってからでは遅いからのう。学院…、いやトリスティンのためにもあの者の正体を知っておかねばならん。ミス・ヴァリエールとその使い魔殿をここへ呼びなさい。」
「承知しました。」
ルイズとアルマロスを学院長室に呼ぶよう命じられたコルベールは一礼し、部屋を退室した。
***
それから十分後ぐらいして、目を真っ赤にはらしたルイズと、ルイズの後ろからついてきたアルマロスが入室した。
「オールド・オスマン…。」
ルイズは、まるで死刑台に立たされる前の罪人のような顔をして、恐怖で声が震えていた。
オスマンは、一目でルイズがなぜここに呼ばれたのか、そして彼女の後ろにいる存在のことについて彼女が何か知っているのを見破った。
「まあ、座りなさい。」
机を挟んでルイズとアルマロスがソファーに座った。
肩を震わせ、俯いてスカートの裾を握りしめるルイズを、隣にいるアルマロスが心配そうに見ていた。
「そんなに緊張しなくてもよい…っというわけにはいかんじゃろうな。ミス・ヴァリエール、言われんでも分かっておるじゃろうが、ここにお主を呼んだのは他でもない、お主の隣におる、お主の使い魔殿のことについてじゃ。」
オスマンが言うと、ルイズは大げさなぐらい体をびくりと跳ねさせた。
ルイズの反応と、オスマンの言葉を聞いたアルマロスは、ルイズの手にソッと手を添えつつ、オスマンを警戒するようにオスマンに向ける視線に刃のような鋭い敵意が込められた。
「わしの名は、オスマン。このトリスティン魔法学院を預かるメイジじゃ。使い魔殿、名を教えてくれぬか?」
「…フゥウオオン。」
「オールド・オスマン…、彼は…、アルマロスは、言葉を喋ることができません。」
甲高い独特の声で返答したアルマロスに代わり、ルイズがそう答えた。
「そうか…、アルマロスとやら、筆談はできるかの?」
オスマンがそう確認を取ると、アルマロスは、頷いた。
「机の上に指でよいから、それでお主のことを聞かせてもらおう。お主は、何者じゃ?」
オスマンの質問に、ルイズがまた大げさなぐらい体を震わせた。
一番知られなくないことだったからだ。彼が、アルマロスが悪いイメージしかない堕天使などと知られたら…。
アルマロスは、ルイズの心配を他所に机の上に指でスラスラと自分が堕天使だと書いていた。
「堕天使…じゃと? お主が? ハハハ、まったくそうは見えんのう。いや、良い意味でな。」
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