第二話 堕天使VS青銅
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ルマロスに手も足も出ず素手で粉砕、潰されているので意味がないのは、分かっていたはずだ。それでも恐怖のあまり咄嗟にそうせざるおえなかった。
ワルキューレを挟んでギーシュの前に立ったアルマロスは、立ち止まり、ワルキューレの後ろにいるギーシュを見た。
「お、おおお、おまえ…、なんなんだ? 何者なんだ? 人間じゃない! 人間であるはずがない!」
圧倒的な力の差に、涙を浮かべて喚くギーシュ。
アルマロスは、右足を顔につくほど高く振り上げ、踵落としでワルキューレをペチャンコに潰した。
最後のワルキューレが倒され、ついにギーシュは、地面に尻餅をついて、ずりずりとアルマロスから距離を取ろうともがいた。
それよりも早くアルマロスが、ギーシュに迫った。
ギーシュは、もうだめだ、殺されるっと思い、両腕を顔の前で組んで死を覚悟した。
しかしアルマロスからの攻撃はこなかった。
怪訝に思ったギーシュが恐る恐る腕を解いて、見上げると、アルマロスが彼を見おろしていた。
アルマロスの手がギーシュが握っていた薔薇の杖に伸び、彼の手から薔薇の杖を奪った。
ワルキューレの練成で花弁を失った薔薇の杖を、指で弄び、アルマロスは、にっこりと笑って見せた。
その表情と動きから、言葉にせずともこちらの勝ちだと言っているのが分かり、ギーシュは、緊張が一気に解れた気がした。
「僕の負けだ…。ハハ、ハハハ…、完敗だよ。」
ギーシュは、なぜか笑いが込み上げ、降参だと両手を上げた。
途端、周りにいた野次馬達が歓声をあげた。
「アルマロス!」
ルイズが野次馬をかき分けて、アルマロスのもとに駆け寄った。
アルマロスは、ルイズが駆け寄って来ると同時に、ギーシュに薔薇に杖を返してそれからルイズと向き合った。
「怪我は、ないわよね…。」
あれだけの圧倒的な攻撃力でギーシュのワルキューレを撃退したのだから怪我などするはずがないのだが、一応確認のためにルイズは聞いた。
アルマロスは、大丈夫だと身振り手振りで伝えた。
「う…、ふ…、ふぇぇぇえええんっ」
「フォーン!?」
急に泣き出したルイズに、アルマロスは、さっきまでの武人の貫録はどこへやらであたふたと慌てた。
さっきまでの戦う姿とのギャップに野次馬達の間で笑い声が聞こえた。
この決闘事件によって、美しい武術と、泣いちゃったルイズをどう慰めればいいか分からず困って慌てる姿のギャップに、謎の多いアルマロスに対する周囲の警戒心は緩み、貴族や平民問わずアルマロスに対して親しみを感じるようなるのであった。
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