第一話 人間を愛する堕天使
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、サラマンダーに懐かれてちょっと微妙な気分だった。
まだルイズに見せていないが、アルマロスは、水を操る能力があり、火属性のサラマンダーとは相性が悪いはずなのだが…。
「せめて名前くらい教えてくれたっていいでしょ?」
なおアルマロスのことを知りたがるキュルケに、アルマロスは、ルイズが動く前に目にも留まらぬ速さでキュルケの傍へ移動し、彼女の手を取って、その掌に字を書いた。
「あ…、るまろす。アルマロスっていうの? 私は、キュルケ・アウグスタ・フレデリカ・フォン・アンハルツ・ツェルプストー。キュルケって呼んでもらっていいですわ。」
アルマロスの素早さに驚いたが、すぐ平静を取り戻したキュルケは、アルマロスの名前を覚えると、妖艶な微笑みと共にそう自己紹介した。
アルマロスは、困ったと笑みを浮かべた。
そのアルマロスの様子を見て訝しんだキュルケは、理由を聞こうとしたが、アルマロスはルイズに腕を引っ張られて引き離された。
「あのね! この…、その…、アルマロスはね、言葉が喋れないのよ。」
「フゥォオオオン。」
「…って感じの声しか出ないの。」
小柄で細身ながらかなり強い力でアルマロスを引っ張ってキュルケから引き離したルイズが、キュルケを睨みながらややしどろもどろしながら説明すると、アルマロスがそれに合わせて言葉を失った独特の甲高い声を出してみせた。
キュルケは、アルマロスの声を聞いて一瞬驚いたが、すぐに納得したと頷いて腕組をした。
「まるでクジラの鳴き声そっくりじゃない。」
「っ…」
キュルケの言葉に、アルマロスは、ピクリと反応した。
ちなみにアルマロスの世界の天使は、それぞれ決まった動物を使役することができるのだが、アルマロスの動物は、クジラだった。
堕天後に手に入れた最後の手段であるネザー化が、使い魔として使役している動物の形に依存することを考えれば、アルマロスが堕天の後遺症で声を失った後、自分の使い魔のクジラと同じ声になったは、当然だったのかもしれない。
「立ち話はこれでお終いにしましょ。授業が始まるわよ。」
「やだ! 遅刻しちゃう! あ、アルマロス、来て! 使い魔はね一緒に授業に出なきゃいけないから!」
ルイズは、キュルケの手前、アルマロスに弱腰でいることをさらけ出すわけにはいかず、必死に泣きそうなるのを堪えながらいつもの強気な姿勢でアルマロスの腕を掴んで教室に向かった。
キュルケとサラマンダーのフレイムも、教室に急いだ。
***
教室についた時、すでにルイズとキュルケ以外の生徒達が教室に入っており、ルイズとアルマロスに生徒達の視線が集まった。
使い魔召喚儀式で出現したあの黒い巨体が人間の姿に変わったのは、
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