第一話 人間を愛する堕天使
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起きるのを渋るルイズだったが、今日は授業がある日だったことを思いだし飛び起きた。
ルイズが起きてくれたので、アルマロスは、よかったと安心した顔をした。
慌てて着替えようとしたルイズだったが、ボタンを外そうとして急に止まった。
そしてちらりと後方にいるアルマロスを見る。
ルイズは、アルマロスを召喚し、彼があの黒い巨大な物体から今の姿に変わるまでのことを思い出そうとした。
あの禍々しい黒い鎧を纏うまでの短い時間だったが、アルマロスの裸体をルイズは見ている。
……男と女を区別する生殖器がなかったような気がする。
かといってアルマロスの体格は、女性のように丸みがあるわけじゃなく、むしろ人間の男性と変わらない形をしていた。
鍛えられた胸筋の膨らみは確認できるが、女性の脂肪の乳房かと言われたら絶対違うと断言できる。
そういえば天使というのは、様々な形でイメージされ、描かれ、形作られている。美術品や本に描かれる姿は、背中の翼は共通しているが、女性であったり、赤ん坊であったり、男性だったり、どちらともとれない中性的な姿だったりと様々だ。
天使の性別について真剣に考えたことなどなかったが、ルイズの記憶にあるアルマロスの体からするに、恐らく性別の概念というものがないのかもしれない。
つまり生殖器がない。生殖による繁殖をしない。無性。
ルイズは、そう頭の中で答えを出した。
一方アルマロスは、ルイズが止まって、こちらをジッと見ているので、どうしたんだろうという顔をして立っていた。
……年頃の娘が目の前で着替えようとしていても気にしてない様子なので、アルマロスは、無性(子孫を残そうという生物的本能からくる羞恥心がない)であるというルイズが出した答えは本当みたいだ。
だがそれを確信したとて、気になるものは気になる。
ましてや相手は、人間を愛するあまりに堕天した天使なのだ。今だって、ほら、外見は大きいのに子供みたいな表情をしている。
神の背いた悪であるはずなのに、信じられないくらい清らかだ。
ルイズは、頼まれてもないのにハルゲニアの人間代表みたいな重たい重大な役割を無意識に己に架してしまっており、アルマロスに失望されるのを恐れていた。
だからルイズは、事前にメモしていた使い魔の躾をアルマロスに強要しないし、昨晩からアルマロスを召喚してしまったことを謝罪して泣いたりしているのだ。
どう動けばいいのか分からず固まっているルイズを見ていたアルマロスは、ルイズが年頃の少女であることを認識し、そういうことかと納得したように手をポンと叩いて、素早く部屋から出て行った。
「えっ、ちょ……、そういう意味じゃなかったんだけど…。うう…っ」
アルマロスが気を利かせてルイズの着替え
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