第一話 人間を愛する堕天使
[3/11]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
の関係が深いヴァリエール家という超名家だ。
だからこそ、人間の悪い部分を嫌と言うほど見てきた。
貴族は、魔法が使えるか使えないかだけで平民を見下し、意味もなく殺すことだって少なくない。
上級の貴族が下級の貴族を虐げることさえ少なくない。
落ちぶれた貴族が野盗に身を落とし、あらゆる犯罪に手を染めることだってある。
平民同士でも争いはある。
名家の令嬢でありながら、魔法成功率ゼロであるために疎まれ見下されるルイズは、人間の悪意に晒されてきたから分かる。
人間は、醜い。
とてもじゃないが、アルマロスのような純粋な天使が堕天してまで、共に生きたいと願うほどの魅力があるとは思えなかった。
アルマロスは、恐らくこの世界の天使(堕天使)ではないのだろう。
もしそうなら、ひたむきに人間を愛する彼が、人間と共に生きたいからという理由で神に背くはずがない。
本当に異世界の堕天使なのだとしたら、ハルゲニアの人間の在り方を見たら、きっと失望するに決まっている。
ルイズは、知らず知らずのうちに拳を握りしめ俯いて、涙を零していた。
彼を穢したくない、失望させたくない。
だって、アルマロスは、こんなにも優しくて純粋で美しいのだから。
なぜ自分は、人を愛するあまりに堕天したこの天使を、この醜い世界に召喚してしまったのだろう。
「うう〜〜っ」
「! フォォン?」
急に泣き出したルイズを見てアルマロスは、びっくりしてオロオロとした。
「ごめんなさい〜。私みたいなのがあなたを召喚するなんて、身の程知らずにも程があるわよね…。」
幼い子供のようにグズグズと泣くルイズを撫でたり、優しく抱きしめたりして慰めようとしているアルマロスは、ルイズの言葉を聞いて、えっ?っという顔をした。
神に背き堕天という禁忌を犯した自分を召喚したのが、どうして身の程知らずになるのかまったく分からなかった。
アルマロスは、ルイズから手を離して、素早くノートに字を書いて。
『ボクは、汚らわしいよ。』
っと、自分が神を裏切り永遠の牢獄に繋がれるだけの穢れた存在であることを伝えようとした。
「そんなこと言わないでよーーー!」
「フォーンッ!?」
しかし否定されたあげく、ルイズは、大泣きし始めてしまった。アルマロスは、ただ戸惑うことしかできなかった。
その後、泣きつかれたルイズは、ベットでそのまま眠り、ルイズに布団をかけてあげながら、アルマロスは、ため息を吐いた。
アルマロスは、部屋の窓を見た。
二つの月が夜空に輝いている。
アルマロスが知る月は、ひとつしかなかったはずだ。
元下級天使とはいえ、高次元のエネルギーの塊である種族に属するアルマロ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ