プロローグ
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尻尾みたいなものを抜けば、無駄のない美しい筋肉の人間の裸体なのだが、体つきは一見男性のように見えて、性別を判別する性器らしきものがなかった。
横たわった男の様子を見ていると、次の瞬間、黒いオーラのようなものがどこからともなく出てきて男の体に絡みつき、男の体を覆う黒い鎧へと変わった。
指を覆うものと、鎧の隙間には、ほんのり青い色が覗いている。下地だろうか?
この鎧は、肉体と同化しているのだろうか、鎧の左手と右胸に、ルーンが淡い光を発していた。
「これは…、珍しいルーンですね。」
コルベールは、一応ルーンの形をメモした。
ルイズは、地面にへたり込んだまま、倒れている青年を見つめていた。
癖の強いアシッドグレイの長い髪の毛、長い髪の毛を何本もの束にまとめるため先端や頭頂部などにシンプルな金色の髪飾りがあり、キュルケよりも濃い褐色の肌、厚い唇、引き締まった頬、優しげなラクダ目。
いまだ閉じられたままの瞼には、長い睫毛がある。
ルイズが男の顔を見ていると、男の瞼がピクピクと動いた。どうやら目を覚ましそうだ。
そして次の瞬間、カッと瞼をあげた男は、飛び上がるように上体を起こしてかなり慌てた様子で周りを見回した。
「お、落ち着いて…、大丈夫だから。」
ルイズが声をかけると、男はルイズの方を見た。
ルイズは、ハッと息を飲んだ。
男の両目は、鮮やかな海の青さをそのまま再現したかのように美しい青い色をしていたのだ。
「きれい……。」
ルイズは、無意識にそう口に出していた。
男は、きょとんとした顔をした。
「あ、あの、ミスタ。」
コルベールが慌てて声をかけた。
男がコルベールの方を見た。
「私の言葉が分かりますか?」
「……」
コルベールの言葉に、男は困った顔をした。
「その様子ですと、私の共の言葉は理解できているようですね? 使い魔のルーンも刻まれて、どうやら無事にコントラクトサーヴァントは成功したみたいですよ、ミス・ヴァリエール。」
コルベールは、地面に座り込んだままのルイズにそう言った。
それからコルベールは、男に向かって次の質問をした。
「喋れないのですか?」
質問を聞き、男は頷いた。
そして自分の喉を指さして。
「フォォォォオオオ…。」
っという、独特の甲高い音を口から発した。
コルベールも、ルイズも、その声を聞いてびっくりしたため一瞬体が跳ねてしまった。
「その声しか出せないんですか?」
男は、頷いた。
コルベールは、腕組をして少し考えた。
言葉を理解できるなら、筆談などの別の手段でコミュニケーションを取ることは可能だ。
しかしこの正体不明の男に文字を書く能力があるのか
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