プロローグ
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そして爆発が起こった。
試験が始まってから一番の爆発だった。
やはり駄目だったかという空気が場を支配する。
ルイズは、ついに両手を地面について項垂れた。
もう限界だった。
やはり自分は、ゼロのままなのか。
疲労によりルイズの心は、挫けそうになっていた。
もうもうとあがる煙。
大きな煙の中から、何かがゆらりと動いた。
巨大な……、何かが。
「ミス・ヴァリエール! 逃げるんだ!」
気付いたコルベールが叫んだ時。
煙の壁を破って黒い巨体がルイズに向かって倒れてきた。
ルイズは、顔を上げて、呆けたように口を開けて倒れてくる巨体を見上げていた。精神的も肉体も酷使した彼女は、状況を全く把握できいなかった。
コルベールが素早く魔法を使おうとしたが、放った魔法はなぜかルイズに当たる直前で消え失せてしまった。
驚愕するコルベールをよそに、動けないルイズの上に黒い巨体が倒れこんだ。
地響きが起こり、呆気にとられていた他の生徒達が我に返って騒ぎ始めた。
「ゼロのルイズが潰されちまったぞ!」
「なんなんだあれは!?」
生徒達は、ルイズが召喚したと思われる巨大な何かを見て混乱した。
表面は、黒く、ゴーレムのように見えるが、ところどころ欠けており、手と思われる部分は肘あたりでもげてしまっている。
頭部の欠損が一番酷く恐らく口のような形をしていたと思われるその部分は上顎がなくなり下顎だけで、あと太い尾が生物的な印象を与える。
あれがゴーレムだとすぐに判断できない理由は、ところどころ欠けた部分ともげてしまった腕の部分からまるで水を連想させるような鮮やかな青い組織が輝いていたからだ。
一方、召喚した黒い何かに押し潰されたかに思われたルイズだったが、ルイズは、無事だった。
倒れてきた巨体が膝を曲げた状態で前のめりに頭から地面に倒れて、下顎が地面に刺さり、結果この黒い巨体の上半身と地面の隙間ができて、小柄なルイズは潰されずにすんだのだ。
召喚に成功したこととか、召喚したモノに危うく潰されかけたことよりも、ルイズは、言葉を失ってしまうものを見て硬直していた。
鈍い黒い色に染まったゴーレムのようなそれの胸のあたりだろうか。
そこにぽかりと開いた丸い穴の中から、人間の顔と上半身の一部がちょうどルイズの目の前に見える状態になっていたのだ。
穴の中の人間は、灰色の癖の強い長い髪の毛も、引き締まった頬とぽってりした鼻、優しげなラクダ目は、固く閉じられており、まるで彫刻のように精気が感じられない。
使い魔召喚儀式は、召喚した物と口づけを交わすコントラクトサーヴァントという魔法を使い使い魔のルーンを刻むまでが儀式だ。
ルイズ
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