騎士のリベンジェンス
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―――? なんだろう、ここ?
シオンに部屋をあてがわれて眠りについた私は、見覚えのない公園にいた。戸惑う私に関係なくこの体はブランコをこぎ、公園で遊ぶ他の子供達の姿を眺めていた。この体から伝わってきたのは、真っ暗な闇のようにぽっかりと空いた孤独感。
―――これは、誰かの記憶?
なら一体誰の記憶なんだ。この体から見える手はまるで4歳ぐらいの女児のものだ。にしても……ああ、なんてか細くて、なんて小さな手なんだ。
日も暮れて、遊んでた子供達は迎えに来た親に、満面の笑顔で駆け寄っていった。彼らの手は、親と子でしっかり繋がっていた。当たり前で、温かくて、ほっとする光景。だけど……、
この手が掴んでいるのは、鉄の棒……親の思いやりも温かみも一切無い、冷たい金属。この体には、あの子供達のような“普通”が与えられなかった。だからその孤独を、
「こんばんは、独りぼっちのお嬢さん」
“影”に付け込まれた。
「……あれは、誰の記憶だったんだろう?」
「ふわぁ〜……はぅ……」
「あぁ、おはよう、フーちゃん」
ベッドの横で大きなあくびをするフーカをよしよしと撫でた私は、このままだとこの子もあの記憶の子みたいになってしまうのだろうかと不安に思った。出来ればそうならないようにしたい所だが……私に親の役目が務まりそうにないのなら、やっぱり出来る人に託した方が良いのかな……。
「おはよう。門番ありがと、ケイオス。おかげでちゃんと眠れたよ」
「ん、起きたか。シャロンが熟睡できたのなら何よりだ」
扉の外にいるケイオスと朝の挨拶をしてから、私は着替えを始めようとした時、思い出したようにケイオスが話しかけてきた。
「そうそう、昨日言ってた報酬のご褒美についてだが……今もらっていい?」
「あ、シェルターでの話ね。わかった、私に出来ることに限るけど、何をしてほしいの?」
「この前買った、“エクスシア・ドレス”を着て欲しい。着てる所、まだ見てないから」
「そういえば着る機会を逃してばっかりだったね。いいよ」
という訳で今日の私は、ゴシック調の妖艶な衣服の袖に腕を通した。実際に着てみると高級品らしい生地の触り心地の良さは抜群なのだが、今までしてこなかったタイプのお洒落をしてるせいか少し緊張してきた。
『ゴスロリに二本の刀が加わって最強に見えます』
「良い服着るだけで最強になれるものなの、イクス?」
『ただの戯言です。にしてもこうしてまじまじと見てみると……ベルリネッタ・ブランド、いいセンスしてますね。私も体を治したら着てみたいです』
「じゃあユーリ達に早く会えるように、これから色々頑張らないといけないね」
とりあえず昨日まで着てた
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