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稀代の投資家、帝国貴族の3男坊に転生
47話:適性
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前線に遊弋していない状況での叛乱軍の動きを確認する意味で、第11駐留基地に3個艦隊を駐留させながら哨戒活動に勤しんだ。叛乱軍は増援が来るまでの短期決戦なら、要塞を陥落させる余地があると判断したらしく、昨年に4個艦隊で来襲した。ここでも前回同様、すぐに3個艦隊の増援を頼むとともに、回廊外縁部を使いながら後方に出る素振りをしつつ、増援が来るとともに包囲宿滅戦を実施した。ただし、要塞主砲を今回は使用した。4個艦隊60000隻のうち、40000隻は沈める事が出来たが、正直、要塞主砲を斉射する際は、戦闘というより一方的な虐殺に近い戦況だった。周囲は喜んでいたが、俺は気分が悪かった。ボタンを押すだけで数十万人の命が消える。なぜ喜べるのか、直後は怒りすら覚えたほどだ。

こうして俺のイゼルローン要塞司令官の任期は終了した。叛乱軍の500万人をこえる血によって回廊を彩ることになったわけだ。叛乱軍から見ればイゼルローン要塞を落とせれば国防体制を抜本的に改善できるのは確かだ。だが、無謀な進撃で将兵の命を浪費する姿に、門閥貴族と似た匂いを感じた。そうこうしているうちに、終着点まで歩いたらしい。跪いて、兄貴の言葉を待つ。

「リューデリッツ伯ザイトリッツ。貴公は近年生じたイゼルローン要塞攻防戦において、抜群の功績を上げた。よってこれを賞するとともに、その功績をたたえ、双頭鷲十字星賞を授ける。帝国歴468年4月銀河帝国皇帝フリードリヒ4世」

「ありがたき幸せ。帝国の興隆の為、より一層はげむことを誓います」

兄貴直々に右胸に勲章をつけてもらう。大変な名誉だし、光栄だとは思うが、心から喜べないのは主砲発射を命じたときの葛藤だけでなく、おばあ様が亡くなったこともあるのかもしれない。イゼルローン要塞の司令官を拝命した段階で覚悟はしていたが、最後の時に傍にいられなかったのは、殺戮者となった俺に相応の罰なのではないかなどと、暗い思考の輪に囚われていた。
勲章を付け終わると、再度最敬礼をし、身をかがめて5歩下がり、振り返って退室する。帝国の国家であるワルキューレよ永遠なれが鳴り響くが、俺の心にはあまり響くものがなかった。俺には軍人としての適性は無かったのだろう。内心を探られぬようにあえて勲章を誇るように胸を張って歩く。前世も含めれば80年以上生きてきて、こんな虚勢を張ることになるとは思わなかった。
唯一の光明は、政府と宮廷で主張されていた前進論が形をひそめた事だ。俺の方では過大に見積もったダゴン・アスターテ・パランティアの駐留基地新設計画書と、アムリッツァ星域の第11駐留基地を6個艦隊クラスの駐留基地に増築する提案書を提出した。
高額な最前線駐留基地新設費用と、兄貴が
「そこまで言うなら、侵攻して得た領地は任せるゆえ。今の領地から異動してくれると思って良いな?」
と、
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