47話:適性
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宇宙歴777年 帝国歴468年 4月下旬
首都星オーディン 黒真珠の間
ザイトリッツ・フォン・リューデリッツ
「帝国軍イゼルローン要塞司令官ザイトリッツ・フォン・リューデリッツ殿〜!」
近衛の前口上が思った以上に大きな声で述べられ、俺は赤絨毯を進む。2度にわたって繰り広げられたイゼルローン要塞防衛戦の論功として、双頭鷲十字星賞という勲章の受勲の為に、軍官と文官が勢ぞろいする中をテクテクと歩いていく。視線の先には玉座に座った兄貴ことフリードリヒ4世が笑顔で待っている。兄貴は軍と政府と大貴族のバランスを取るために、普段はそこまで政務に口を出さないが、前線で頑張る我らがザイ坊の活躍に、勲章で報いたいと考えたらしく、今回ばかりは勅命を出したらしい。
俺だけでなくメルカッツ先輩にも同じ勲章が授与されるし、パトリックやテオドールにも格は下がるが勲章が授与される。付いてきてくれた事に報いる事が出来て嬉しいと同時に、軍人としての適性がない事が自分の中でははっきりしたので、昇進はするだろうが、退役すべきなのではないか?と悩む日々が続いていた。
戦果としては、第一次イゼルローン要塞攻防戦にて2個艦隊を撃破し、第二次イゼルローン要塞攻防戦において3個艦隊を撃滅した。叛乱軍の戦死者は500万人を越えるだろう。正直、自分の功績という以上に、あちらの為政者や軍上層部の無謀さに怒りを覚える日々だった。それだけ社会の疲弊が進んでいるのかもしれないが、乾坤一擲の策にしても、人命軽視が過ぎるように思えた。
かなりの奥行がある黒真珠の間を歩きながら、2度に渡る攻防戦の事を思い出す。一昨年からイゼルローン要塞の司令官に着任した訳だが、帝国は現在戦争を優位に進めているし、最前線での会敵が減少傾向だった。メンテナンスも兼ねて、アムリッツァ星域の第11駐留基地とシャンタウ星域の造船工廠に前線で遊弋していた6個艦隊を戻した訳だが、そのタイミングで威力偵察の為だと思われるが、叛乱軍の2個艦隊がイゼルローン要塞付近まで進撃してきた。
これが第一次イゼルローン要塞攻防戦になる訳だが、回廊に侵入してきた時点で、第11駐留基地へ急報を送り、要塞を中心に駐留艦隊を左翼と右翼に二分し、回廊外縁部を使いながら後方遮断するそぶりをしつつ、要塞は対空砲と制宙戦力で対応した。そして、要塞の陰になる航路から2個艦隊が増援にかけつけ、駐留艦隊が一気に後方へ進路を取ったことに対応して叛乱軍が回頭をし始めたタイミングで、要塞の陰から一気に包囲殲滅戦を仕掛けた。叛乱軍側の回廊は意図的に塞がなかったので、多少は脱出を許したが、2個艦隊30000隻のうち、25000隻は沈める事が出来た。要塞主砲は、威力偵察であることを認識していたので、あえて使用しなかった。
これでしばらくは落ち着くと判断し、帝国軍が最
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