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レーヴァティン
第七十二話 大商人その十二

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「それだね」
「わかるんやな」
「君の背じゃおいら達の世界だとね」
「子供やっちゅうんやな」
「こっちの世界でもね」
「それや、下手に変装してもや」
「子供って思われてだね」
「帰れとか言われたりうちが小柄ってばれてるしな」
 それがトレードマークになっていてというのだ。
「それでや」
「苦労しているんだ」
「そや、顔や髪型はどうなっても」
「メイクとか鬘で」
「服装とかでな、けどな」
「背はだね」
「胸とかも何とかなるねん」
 見れば小柄だが胸は目立つ、所謂ロリ巨乳と言っていいだろうか。
「サラシ巻いたり余計にでかくして」
「パッド入れたりだね」
「そうするけど」
「背はだね」
「これが一番厄介や、それでな」
「背はどうしてるのかな」
「上げ底履いてるわ」
 そうした靴をというのだ。
「それでばれん様にしてるねん」
「ああ、シークレットブーツとかだね」
「うちの背はほんまに小さい」
 美奈代は自分から言った、確かに一四〇なく大学生というよりは小学生と言っていい位の背丈である。
「これで帰れとか正体ばれるからな」
「それを気をつけてるんだね」
「そやねん」
 淳二にワインを飲みつつ話した。
「マラドーナさんみたいに小さいからな」
「マラドーナは一六五だったね」
「サッカー選手の中でも小さいやろ」
「うん、確かにね」
 尚サッカー選手は他のスポーツよりも背は求められない、このことはサッカーから派生したラグビーとは違う。
「あの人は」
「そのマラドーナさんみたいにや」
「小柄だから余計にだね」
「小さいからな」
 それでというのだ。
「うちもや」
「上げ底履いたりしてだね」
「変装してる、上げ底で誤魔化してな」
「他の人のお店にも行ってるんだ」
「他にも鬘で誤魔化したりしてな」
 それでも背を伸ばすというのだ。
「やってるで」
「何かと大変なんだね」
「この背で童顔やから子供料金でもいけるけど」
「大学生でそれはよくないよ」
「そやからいつもちゃんと払ってるわ」
 年齢に応じたそれをというのだ。
「お金はちゃんと払わんとな」
「うん、駄目だよ」
「けれど変装には苦労してるさかい」
「君も大変だね」
「それで今日もこれからな」
「変装してだね」
「商売相手のお店に泊まるわ」
 今度は海老フライを食べる、とはいっても日本の海老フライとはまた違う感じがしている。西洋風と言うべきか。
「そうするわ」
「旅商人になるんだね」
「これからの立場でな」
「小柄なことも大変なんだね」
 剛は美奈代の話をここまで聞いて述べた。
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