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レーヴァティン
第七十二話 大商人その十一

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「お店にもちゃんと投資せなな」
「やっていけないな」
「絶えずな」
「商売人も大変ってことだな」
「儲けたら色々お金回さなあかんからな」
 貯める以前にというのだ。
「そうせなあかんからな」
「そういうことを考えるだけでも大変か」
「ああ、それでや」
「このお店もか」
「結構お金投資してきたわ、美味しいものを安く仕入れるルートを手に入れるだけでも」
 これも商売の為だ、美奈代はこうしたことも考えて店を経営しているのだ。
「それだけでもな」
「苦労してきたか」
「そや、ほんまにや」
 苦労したとだ、美奈代は笑って話した。
「その介はあったと思うけどな」
「それはよかったな」
「ああ、ほな飲み食い終わったらな」
「出発だな」
「そうしよか」
「そうするか、じゃああんたも飲むかい?」
「いや、うちはええわ」
 美奈代は久志の誘いには笑って返した。
「もう食べてきたし飲むのは今日はな」
「いいんだな」
「昨日実は従業員の人等が送別会開いてくれたんや」
「それでえらく飲んだか」
「そうやねん、今日の朝は二日酔いで死にそうやったわ」
 にひひという笑みでだ、美奈代はこうも言った。
「そやからな」
「今日はいいか」
「遠慮するわ」
「そうか、じゃあな」
「そっちの飲み食い終わったらな」
「出発か、しかし今出ても夜だからな」
 それでとだ、久志は時間から述べた。
「明日の朝にするか」
「朝出発かいな」
「そうしようか、俺達も飲んでるしな」
「ほなうちも宿に泊まるか」
「自分が経営している宿屋にか」
「いや、他の人のお店に行くわ」
 美奈代は笑って久志にこう答えた。
「競争相手のお店を見るのも勉強や」
「だからか」
「そっちに泊まるわ」
「そうするんだな」
「身分と名前隠してな」
「競争相手の代表が来るとか何だって思うしな」
「そやからな」
 美奈代は久志に笑って話した。
「今日はな」
「身分隠してか」
「そのうえでいくわ」
「わかったぜ、じゃあな」
「ほなな」
「また明日な」
「明日の朝街の正門で落ち合おうか」
「そうしような」
 二人で約束した、そうして美奈代は今は仲間達と共に飲み食いするが彼女はここでこんなことを言った。
「うち変装することも多いけど」
「ああ、素性を隠してだね」
 淳二が美奈代のその話に応えた。
「敵情視察とか自分のお店をチェックするんだね」
「そうしてるけれどな」
「変装得意なんだ、君」
「いやいや、実は困ってることがあるねん」
「背だね」
 淳二は笑って美奈代のこのことを言った。
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