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レーヴァティン
第七十二話 大商人その十
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「本当に」
「そうなんやな」
「それでな」
「ああ、今からな」
「名乗るで」
 こう前置きしてだ、女は名乗った。
「小向美奈代、あっちの世界では八条大学経済学部の二回生や」
「経済学部か」
「商人らしいやろ」
「ああ、ただな」
「経済学でもやな」
「うちの大学いないけれどな」
 それでもとだ、久志は美奈代に話した。
「まだマルクス主義あるからな」
「日本の大学だけやな」
「ある意味凄いよな」
 久志は皮肉を交えてしみじみとした口調で述べた。
「ソ連崩壊して四半世紀超えてるってのにな」
「マスコミもそんなんやろ」
「ああ、相変わらずな」
「マルクス言う奴おる、けどな」
「あんたは違うよな」
「最初からおかしいしもう化石や」
 マルクス主義経済学、それはというのだ。
「あんなん読んでも何にもならん」
「商売の助けにもならんか」
「そや、うちが持ってる神様の宝物も古典やけどな」
「何だよ、それは」
「道徳感情論や」
 この書を持っているというのだ。
「経済のことな何でも教えてくれる書や」
「随分有り難い書なんだな」
「うちの商売の助けにもなってくれてる」
「有り難い本なんだな」
「うちは戦闘はあくまで人並みや」
 その程度しか出来ないとだ、美奈代は久志にあらかじめ話した。
「銃とか術は使えるけどな」
「銃は護身用か」
「あと剣も使えるけれどな」
「戦闘自体がか」
「あまり積極的にはやらんで」
 このことを断るのだった。
「言っておくけどな」
「商人だからな」
「基本戦わんからな」
 そうした立場だからだというのだ。
「そこは言っておくで」
「わかったぜ、じゃあな」
「ああ、これから宜しゅう頼むな」
「こちらこそな」
 二人はあらためて挨拶をした、そしてだった。
 美奈代は仕事の申し継ぎと旅の用意に入った、そのことを終えてそれから彼女も旅に出ることになったが。
 やはり二日かかった、それで美奈代は自分を待つ間街で色々遊び今は自分が経営している居酒屋の一つで飲んでいる久志達のところに来て尋ねた。
「この二日どやった?」
「ああ、見ての通りだよ」
 久志は美奈代に赤ワインを飲みつつ答えた。
「この通りな」
「楽しんでたんやな」
「充分以上にな」
「それは何よりや」
「いい店だな」
「サービスもええし味もやろ」
「酒も料理もな」
 そのどれもがというのだ。
「いいぜ」
「そやろ、ええもんを安く出してな」
「サービスもだよな」
「充実させてこそや」
 美奈代は久志の傍に立ってドヤ顔で話した。
「お店は繁盛してな」
「商売で暮らしていけるんだよな」
「そういうこっちゃ、それで儲けたお金でな」
「お店をさらによくしていくんだな」
「そ
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