第五章
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「絶対によ」
「結婚するのかよ」
「本当にその先生と」
「それで今も先生と会ってるのかよ」
「わざわざ幼稚園に行って」
「そうよ、幼稚園に今もいるから」
その幼稚園は今通っている小学校の系列だ、高校までの一貫教育で水本もずっと幼稚園に勤務しているのだ。
「だから私高校を卒業したらね」
「高校にも行けるかよ」
「御前成績いいけれどな」
「そんなのわかるかよ」
「高校のことだってな」
「わかるわよ、私お勉強も頑張ってるから」
それでというのだ。
「お嫁さんになる為のことだって」
「なれる筈ないだろ」
「そんな先のことわかるかよ」
「大人になった時のことなんてな」
「わかってたまるかよ」
「わかるから、私には」
奈津美は男子生徒達と言い合っても負けていなかった、そうしてあくまで水本と一緒になる為に家事を手伝うことから実際にする様になり。
中学生になって部活も料理部に入りそこで料理の腕を磨き水本の料理を作ることを考えていっていた。もう中学生になった時は。
両親もだ、まだ信じられなかったがそれでもこう話す様になっていた。
「ひょっとしてな」
「そうよね」
「もう中学生になったからな」
「今もあの娘の気持ち変わってないし」
「あの先生と結婚するかもな」
「そんな気がしてきたわね」
「小学校の間ずっとだったからな」
それこそとだ、父は言った。
「あの先生のところ行ってて」
「ええ、ただね」
「ああ、あの先生もな」
「あの娘大事にしてくれて」
水本にしてもだ。
「ちゃんとね」
「清潔な付き合いしてくれてな」
「ずっとあの娘と向かい合ってくれてるから」
「いい人だな」
「そうよね」
二人で話した、彼のことも。
「あの先生ならね」
「奈津美を任せられるな」
「凄く立派な人だから」
「俺達より若くてもな」
「けれどやっぱりね」
「歳がな」
開いているとだ、二人もこのことを気にしていた。
「だからな」
「それが気になるのよね」
「けれどな」
「あの先生ならね」
「そうも思えてきたしな」
「どうしようかしら、あの娘の気持ちが変わらないなら」
高校卒業までとだ、母は今結構本気で考えていた。
「もうね」
「結婚を許すしかないか」
「その時はね」
二人はこう考える様になっていた、そして。
中学校でもだ、奈津美はこう言われる様になっていた。
「御前まだか?」
「まだあの先生と会ってるのかよ」
「それでか」
「本当に高校卒業したらか」
「先生と結婚するのかよ」
「幼稚園の時の先生と」
「そうよ」
小学校の時に囃し立てた男子生徒達にはこの時も真剣な顔で答えた。
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