第二章
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「魔力を高めてな」
「己の身体を霧に変えられるまでになれば」
「それこそすうっとや」
「主と壺のある部屋まで入って」
「そうしてや」
そのうえでというのだ。
「壺を持ってな」
「立ち去ることがですか」
「出来るけどな」
「それは」
どうかとだ、ここで喜久子は芥川に言った。
「主の間の襖や障子にもです」
「結界を張っとったんか」
「吸血鬼の力除けにも。つまりあの部屋に入るには」
「はい、物理的な力で開け閉めをしてです」
「それで手でやな」
「壺を持ちだすしかないです、ですが日中は主はいつも見張りをつけていて」
部屋にというのだ。
「それも当番で同時に何人も」
「そして夜はやな」
「はい、主が枕元にいますので」
「そうそう盗めんな」
「そうなのです」
「よおわかったわ、壺はなくなっててしかも間に入る障子が開いてた」
「盗まれたことは明らかですが」
「誰がどうして盗んだか」
それはとだ、芥川はまた言った。
「それがわかってないんやな」
「左様です、ただ下手人ですが」
喜久子は芥川にその目を光らせて述べた、フェアリーの小さな身体だがそこにある知性はかなり高い。そして警官としての能力と倫理観もだ。
それでだ、今も言うのだった。
「既に何人かです」
「ほお、怪しい奴おったか」
「はい、以前から壺について何か言っていた者が数人いました」
そうだったというのだ。
「そしてです」
「その連中を全員か」
「怪しい者としてです」
「身柄を確保してるか」
「そうしていますが」
「わかった、ほなな」
芥川はここまで聞いてだ、喜久子をあらためて見た。
そうしてだ、こう彼女に問うた。
「喜久子ちゃんはもう犯人わかってるか」
「そうだと答えれば」
「流石と言っておくわ」
笑ってだ、芥川は喜久子にこの言葉を贈った。
「太平洋の警察組織のトップや」
「こうしたこともです」
「出来んとか」
「警官という職業でいられません、それに」
「警察組織のトップとしてやな」
「はい、やっていけないです」
芥川に確かな声で答えた、そしてさらに言った。
「これよりその下手人を姫巫女様の御前に連れてきましょうか」
「それはええわ、ただ綾乃ちゃんと僕と中里の三人でな」
日本の神星の彼等でというのだ。
「そのお白洲を奉行所の襖の向こうで見せてもらってええか」
「そうされますか」
「ああ、それでええか」
「わかりました」
喜久子は芥川に一言で答えた、そしてだった。
三人は奉行所に密かに入りそこで喜久子のお白洲を見ることになった、それで三人は襖の向こうに隠れて様子を見聞きすることにした。
喜久子は怪しい者達を白洲の前に全て出してそこで奉行の場から言うことにした。そ
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