第二章
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「生きていた頃に無闇に獣を殺し肉ばかり食っていて供養もしなかったので」
「それで、ですか」
「はい、骨は笑って捨てて肉の味のみを楽しんでいて自分だけが食っていたと」
「ふむ、殺生はよくありませぬがそれでもです」
僧侶は億耳が語る男の罪について述べた。
「それが多過ぎ供養もせず肉も自分だけが楽しんでは」
「それはですね」
「よくありません、罪を受けるのも」
「その御仁も仕方ないと言っていました」
「そうですか」
「左様です、それである僧侶にそれはよくないと言われてです」
「そしてですか」
「せめて昼だけはそうして夜はです」
その時はというのだ。
「その殺生と味への執着と一人占めを止める様にと言われ」
「それを守ったのですね」
「そして夜は教えを守ったことの報いを受け」
「昼は宮美奈殺生と供養をしなかったことと一人占めの報いを受けている」
「そう言っていました」
「そうでしたか」
「これが食欲の話です」
そうだったというのだ。
「一つの欲です、そしてです」
「次は色欲ですか」
「この御仁に手を合わせて御仏の救いがある様にと言ってです」
そうしてとだ、億耳は僧侶にさらに話した。
「次の城に行きそこでも宿がなく」
「そうしてですか」
「また木の下で休んでいたのですが」
「はい、するとそこでもでした」
「寝台と美しい男と女が出て」
「はい、そして」
そのうえでというのだ。
「そこでも睦事が行われ」
「夜明けまで続いたのですね」
「後は同じです、ただ」
ここでこう話した億耳だった。
「今度は昼にでした」
「昼にですか」
「はい、睦事が行われたのです」
「夜と思いましたが」
僧侶は億耳の話を聞いてこれはまた何かがあると思った、そのうえで彼に対してさらに問うたのだった。
「そこは違ったのですか」
「今度は昼でした」
「ではそれがどうしてかも」
「お話させて頂きます」
「お願いします」
「はい、それはです」
さらに話した億耳だった。
「これからお話させて頂きます」
「その様に」
「今度はその男は百足に食われました」
「百足ですか」
「数多くの百足に」
そうされていたというのだ。
「そうなっていました」
「それはまた」
「はい、狗に喰われるのと同じ様に」
「昼にですか」
「それでまた供養しました」
その者の骨をというのだ。
「するとその御仁の霊も出て来て」
「今度は何だったのですか」
「何でも尼僧と交わっていたとか。ご夫君に先立たれ寺に入っていた方と」
「それはよきことではないですな」
僧侶は億耳の話にまたしても顔を曇らせて答えた。
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