第六章
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「いいか悪いかは私も言えない、若しかしたら一方が遊びかも知れない」
「奥様か勇吉さんが」
「お二人のうちどちらかが」
「それはわからない、しかし若し本当に惹かれ合っているのなら」
それならばとだ、また言った片平だった。
「どうだろうか」
「それはですか」
「直哉様にもどうかは言えないですか」
「どうにも」
「わかりかねている」
これが片平の考えだった、その彼にしても次第に宮田家の分家筋先々代の当主のすぐ下の弟の家には娘が一人いるだけなのでそこに婿入りするかという話が出て来ていてその話は急に進もうとしていた。その中でだ。
昌枝と勇吉のことは最早誰が見ても明らかであった。それで宮田家の者達も家に仕えている者達も経営している会社で働いている者達もこれはどうなのかいいことか悪いことかという話になっていた。
「先代の奥様だぞ」
「確かに今はお一人だが」
「再婚していいのか」
「いいのではないか?」
「いや、操を立てるべきではないのか」
こうした話になっていた、まさに賛否両論だった。
特に宮田家の者達、他ならぬ一族の中では日々このことが話になっていて彼等は難しい顔で話をしていた。
「奥様のお気持ちもわかるが」
「しかしな」
「先代が去ってまだ時がそれ程経っていないしな」
「しかも当家の家柄を考えると」
「再婚はどうか」
「いいのでは?」
「新しい時代になって久しいし」
宮田家の中にも賛成派がいて言うのだった。
「それでも」
「当代がすくすくと育っておられますし」
「それならです」
「このことは」
「いや、やはりな」
「このことはな」
「駄目であろう」
反対する者達も言ってきた。
「宮田家の格を考えると」
「それはおいそれと出来ないぞ」
「幾ら何でも」
「どうかと思うが」
こうした話になっていて互いに意見が交わらず意見がまとまらなくなっていた。それで遂にだった。
宮田家に入ることがおおよそ決まっているがまだ部外者である後見人の片平に話を聞くことにした、彼は後見人になってからの実直かつ的確な仕事ぶりと謹厳な性格が認められていて宮田家の者達にも信頼されていたのだ。
「当家に来てくれてまだ日が浅いにしても」
「それでもだ」
「あの人のお話も聞こう」
「当家の後見人だし会社でもよく働いてくれている」
「いつも的確なことを言ってくれる」
「ならあの人の話も聞こう是非な」
こうして片平の意見が重要なこととなった、それでそのことを宮田家の者達に言われてだった。片平は彼等に暫し考えてから答えた。
「少し待って頂けますか」
「と、いいますと」
「どうされるのですか」
「はい、まずは二人の話を聞きます」
当人達つまり昌枝と勇吉のそれをというのだ。
「そしてです」
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