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未亡人
第二章
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「何故そうなるかはまだわかっていないか」
「何でも海軍の方でわかったとか」
「そうなのか」
「そう聞いていますが」
「それが若し本当だとな」
「脚気で死ぬことがなくなれば」
「これ以上いいことはないな」
 片平は脚気についてはこう言った、
「あの病でどれだけの人が死んだか」
「そう思いますと」
「どれだけいいか、陸軍でもだな」
「随分と兵隊さんが死んでいて」
「色々調べているそうだが」
「それでもです」
 陸軍の軍医達が必死に調べてもだったのだ。
「その原因はです」
「まだわかっていないか」
「ですが海軍では」
「わかったのか」
「その様です」
「だといいがな」
「はい、それでは」
 老人は脚気の話からさらに述べた。
「秋田にです」
「行かせてもらう」
 片平の返事は強いものだった、彼は逆らうことなくそのうえで大学を卒業するとすぐに秋田の旧家であり大地主でもある宮田家に入った。その家は見事な屋敷で門も壁もしっかりとしたものであった。
 その家に来たところでだ、彼の供として片平家から来た者達が彼に対してこんなことを言ったのだった。
「実は先日です」
「宮田家のご当主が亡くなられています」
「前のご当主に続き」
「当代の方も」
「まさかと思うが」
「はい、そうです」
 その通りという返事だった。
「以前からお身体が弱くて」
「そうだったのか」
「胸を患っておられて」
「それでか」
「はい、その病で」
 その為にというのだ。
「まだお若かったのですが」
「そうか、では先代も当代も亡くなられて」
「もう当代が長くないということで」
「私を後見人にか」
「そう願われていたのです」
「そうだったか」
 この辺りの事情を理解してだ、片平頷いた。
「事情はわかった、ではな」
「これよりですね」
「私はこの家に入らせてもらおう」
「それでは」
 供の者も応えてだ、そしてだった。
 彼等は屋敷に入った、するとだった。
 屋敷、中も見事なものでしかも実に広く部屋も多いその中を案内されてだ。片平は屋敷の応接の間に案内された。
 二十畳はあり見事な掛け軸があるその居間の中でだった、片平は一人の二十代後半と思われる女性と会っていた。
 切れ長の目で睫毛は長い、眉は細く奇麗な形をしている。細面は白く紅の唇は小さい。その唇の左下に黒子が一つある。
 黒髪を後ろで上げて束ね見事な着物を着ている。その女性が名乗ってきた。
「宮田昌枝といいます」
「片平直哉です」
 片平もこう名乗った。
「父に言われまして」
「はい、当家にですね」
「入らせて頂くことになりました」
「このお話は主人が進めていたことですが」
「ご主人がですね」
「はい、生前に片平家のご当主とお話を進め
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