第四章
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「それはね」
「どうなのよ」
「相変わらず楽しんでるなってね」
「そう思ったの」
「ええ、夫婦でね」
こう思ったとだ、由貴は海老を食べつつ娘に答えた。
「相変わらずね」
「そう思ったのね」
「サイト見ても思ったわ、あと二人の顔もね」
久しぶりに会った二人の表情もというのだ。
「お子さんも四人いるっていうし」
「四人もいるのね」
「家庭も幸せみたいよ」
「趣味だけでなく」
「旦那さんのお仕事もね。充実してるみたいよ」
「それは何よりね」
「そう思ったのよ」
娘にあらためて話した。
「お母さんとしては」
「幸せで何よりって」
「友達が幸せだと嬉しいからね」
友達としてはというのだ。
「だからよ」
「そう思ったのね」
「ええ、夫婦でね」
「そうね、ただ聞いてて思ったことは」
それが何かもだ、小雪は話した。話しつつほうれん草を食べた。実は野菜の中でも一番好きなものだ。
「小さいっていうか」
「そんな幸せっていうのね」
「私思ったけれどね」
「そんなものよ、幸せなんて」
由貴は味噌汁を一口飲んでから娘に答えた。
「実際のところね」
「小さいものなの」
「些細よ。家族円満で仕事があってね」
「趣味を楽しめたら」
「それで幸せなのよ」
これだけ揃っていればというのだ。
「人間ってね」
「そんなものなの」
「じゃあ小雪は今不幸?」
「そこまで思ってないけれど。背はもっと欲しいけれど」
小柄なのはコンプレックスではあるしどうにかなって欲しいと思っている。
「けれどね」
「それでもよね」
「部活一年だけれどレギュラーになれそうだし」
「桐子ちゃんとダブルスでよね」
「シングルでは無理だけれど」
それでもというのだ。
「ダブルスでね」
「いいじゃない」
「成績も中の上だし」
つまり悪くないというのだ。
「学校面白いし桐子ちゃん以外にもお友達多いし」
「充実してるのね」
「ええ、だからね」
「幸せかっていうと」
「幸せよ」
小雪自身このことを認めた。
「ちょっとしたことだけれど」
「そのちょっとしたことがね」
「幸せっていうのね」
「だから二人共ね」
小甲も彼の妻の美香子もというのだ。
「幸せなのよ」
「満足してるから」
「そんなに強い不満ないみたいだからね」
「だからなのね」
「よかったって思ったわ、本当に幸せってのはね」
「小さなものなの」
「案外ね、二人共些細だけれど」
小さいとだ、由貴自身小雪に言った。
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