第二章
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「一生ね」
「全く、どれだけ寝るのが好きなのよ」
「三度の御飯と家族と阪神タイガースと同じだけよ」
「物凄く好きってことね」
小雪もそのことはわかった、だがそれでもだった。
母の寝道楽には呆れる次第だった、それでそんな母には呆れていたがそれで寝道楽を止める母ではないこともわかっていた。
実際に由貴は寝道楽の日々を過ごしていた、とにかく暇があると寝ていた。だが家事もパートのスーパーの仕事もおろそかにしていなかった。
この日もパートを頑張ってだ、その後でだ。意気揚々と帰っているとだった。
その帰り道にだ、由貴はばったりとだった。声をかけられた。
「あれっ、由貴やないか」
「あれっ、雄ちゃんじゃない」
黒いシャツに白のジーンズの中年の男に会った、髪型は黒く短く刈ったもので全体的に清潔な印象である。背はハーフのせいか日本女性としては高い由貴よりも十センチは高い。由貴の大学時代のゼミ仲間小甲雄太郎である。
「今こっちなの」
「ああ、戻ってきたんや」
その彼小甲は由貴に笑顔で答えた。
「福岡から」
「暫くあっちに転勤してたのよね」
「家族でな」
「福岡楽しかった?」
由貴は小甲に親しい笑顔でこう尋ねた。
「あっちは」
「ああ、三年間楽しかったわ」
「そうだったの、それで美香子元気?」
由貴はやはり大学で同じゼミ仲間で小甲の妻である彼女のことを聞いた。小柄で黒髪を団子にまとめたこけしを思わせる外見の女性だ。
「今も」
「ここにおるで」
「久しぶり」
その美香子が出て来た、その美香子を見て由貴は彼女にも笑顔で言った。
「福岡に行く前と全然変わってないわね」
「いや、もう老けたわよ」
「全然変わってないわよ」
由貴は美香子にも親しい笑顔で話した。実際に美香子は彼女の記憶にある二十年近く前の姿のままだった。
「凄く若いじゃない」
「これでも体重増えたし子供も四人いるのよ」
「四人もなの」
「そうなのよ、これがね」
美香子は由貴に朗らかに笑って返した。
「雄君と結婚してね」
「大学を卒業して同時にね」
「もうそれからね」
「四人って言ったのは」
由貴が知っている美香子と雄太郎の間の子供は三人だ、雄太郎が福岡に転勤するまで棟は違うが同じ敷地内の団地にいて付き合いがあったので三人までは知っていたのだ。
「福岡で」
「そうなのよ、高齢出産だけれどね」
美香子は由貴に笑ったまま応えた。
「また一人なのよ」
「出来たのよ」
「男の子男の子で」
「三人目の子が女の子で」
「また女の子だったのよ」
四人目はというのだ。
「そうなったのよ」
「男の子二人女の子二人ね」
「丁度数が同じになったわ」
「それはいいわね、ただね」
「ただ?」
「趣味の方はどうなの
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